私の姉さんのなまえは、優しくて美人で、それはもう自慢の姉さんなの。銀さんと私の仲も誰よりも応援してくれている、大切な人。
今日はそんな姉さんと、二人で着物を見に行く日。何のための着物かっていうと…それはもちろん、お見合い写真よ。綺麗な着物を着て撮ったお見合い写真を送り付ければ、きっと銀さんも私を認めてくれるに違いないわ。
「あやめ。ちょっと来て」
「なぁに? 姉さん」
「こんな着物はどうかしら?」
姉さんが手にしている着物は、赤色の綺麗な着物。花の模様がよく映えている、大人っぽいものだ。
「鮮やかで綺麗…!」
「着てみない?」
「そうね。試着してみようかしら」
「それがいいわ。その間に、私は他のも探してみるわね」
「ええ、ありがとう。姉さん」
試着室へ入り、近くに居た店員にも着付けを手伝ってもらい、ついでに髪も纏めてみた。どうかしらと試着室から出てみると、姉さんはぱあっと笑顔になった。
「とっても綺麗よ、あやめ」
「ありがとう…あら? 姉さん、その着物は…?」
姉さんが新たに手にしていた着物を見ると、これもまた黒を基調とした大人なデザインで。着物を差し出しながら姉さんは、私にそっと耳打ちをした。
「この着物ね、さっき神楽ちゃん達と一緒にこの売り場を通りかかった銀さんが、じっと眺めていたものなのよ」
「…………それ、本当なの?」
「ええ、着てみ「店員さん、これ下さい!」……こら、あやめ! 試着もせずにいいの?」
心配そうな声色で聞かれたけれど、銀さんが眺めていたのなら銀さんの好みという事だもの。即買いに決まっているわ。そしてそのまま着物を着て店を出て、途中の写真屋さんでお見合い写真を撮り、万事屋へ届けて帰った。
スピード求婚の行方は
「これ、さっき銀ちゃんがずっと見てたエロかっこいい着物ネ」
「いや……着てるのあの女じゃねェか」
「すごく綺麗じゃないですか。もう結婚しちゃえば?」
「そうヨ。この機を逃したら、もうお嫁さんなんて来てくれないアル」
「うるせェ! これ捨てとけ、新八」
「ひどいわ銀さん!」
「ゲッ! てめ、どこから入りやがった納豆女ァ!」
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