「おい、なまえ?」

 今日は妹のなまえが木ノ葉へ行きたいと言うから、早めに任務を終えてきたというのに……いつまで待ってもなまえが来ない。痺れを切らして部屋へ向かうと、服やら髪型やらで迷っている最中だった。

「なまえ…?」
「えと、あの…姉さんと出かけるのは久々だから、お洒落をしようと思ったんだけど……なかなか決まらなくて」

 色とりどりの着物や髪飾りに埋もれて、なまえは困ったように笑っていた。別に何を着ても可愛いんだが……何色でも似合って、どんな服でも似合う。今着ている服でも充分だと思う。……逆に、なまえと出かけるためにお洒落を、なんて少しも考えていなかった私が恥ずかしいじゃないか。

「どれも可愛いけどな……この藤色の着物はどうだ? なまえに似合うし、柄も派手すぎないし」
「そう…かな? 姉さんがそう言ってくれるなら、今日はそれを着ようかしら」

 私が部屋を出て数分後、なまえは着替えて髪も綺麗に結っていた。髪飾りは藤色の着物によく映えていて、姉の私から見てもとても綺麗だった。

「やっぱり着物がよく似合うな、なまえには。……木ノ葉へは遠い。早速行こう」
「うん、姉さん」
「あれ? テマリとなまえ…どこか行くのか? なまえなんて、凄い綺麗じゃん!」
「カンクロウ。これからなまえと木ノ葉へな。前に行った時に気に入った甘味屋へ、行きたいらしいから…」
「ふーん…だから長めの休みを取ったのか」
「まあな。行くか、なまえ」
「うん。またね、カンクロウ」
「ああ、気をつけろよ! ……ま、テマリがついてるから大丈夫だと思うけどな」
「…どういう意味だカンクロウ」
「何でもないじゃん」

 そそくさと逃げていくカンクロウに溜息を吐き、なまえの手を引いて里を出た。


 木ノ葉に現れた美少女


「ほえー……綺麗な子が居るってばよ…」
「え、どこどこ?」
「サクラちゃん! ほら、あの子だってばよ! な、可愛いよな。シカマル!」
「……まぁな。どこの里だ? 木ノ葉じゃねーみたいだな」
「あれ、シカマルまさか気に入った?」
「……めんどくせー…」
「絶対に照れ隠しだってばよ!」

「ああ、あの子ね。テマリさんの妹よ」
「サクラちゃん今なんて!?」
「テマリさんの妹の、なまえちゃんよ」
「………あれが、あいつの…マジかよ」
「…シカマルが固まるなんて、滅多に見られねぇってばよ」


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