ワシには木ノ葉丸の他に、もう1人の孫がいる。これが女の子で、可愛らしくてのォ……目に入れても痛くないどころか、入れたいほど可愛い孫なんじゃ。しかし、そんな可愛い孫達も悪魔と化す日が、いよいよやってきてしまった。
――そう、正月だ。
「おじいちゃん、おじいちゃん!」
「おい、じじい!」
「な…なんじゃ、なまえ…木ノ葉丸…」
もう答えは分かっているが、念のため恐る恐る聞いてみる。
「そりゃあ…ね、木ノ葉丸」
「な、なまえ姉ちゃん!」
「お正月といったら…」
「お年玉だ、コレ!」
「…………」
やっぱり、と肩を落とす。しかし、可愛い孫達に新年の小遣いも無しでは、祖父としての顔が立たん。それに、お年玉の用意はもちろんしていたからのォ。
「……ほれ、2人とも。ちゃーんと用意しておるわい」
「やった! なまえ姉ちゃんはいくらだ?」
「木ノ葉丸は?」
こそこそと部屋の角で中身を見せ合っているが、たちまち木ノ葉丸の表情が不機嫌に染まるのが分かる。仕方ない事じゃが、お年玉というのはこういうモンだからのォ。
「じじい!」
「ん?」
「なまえ姉ちゃんより5千円少ないぞ、コレ」
「いや、木ノ葉丸の方が年下じゃし…」
詰め寄る木ノ葉丸に慌てて言い訳をするが、木ノ葉丸の機嫌はおさまらず。するとなまえが、木ノ葉丸を抱き上げて自分と向かい合わせた。
「なまえ姉ちゃん?」
「木ノ葉丸に2千円あげるわ」
「へ?」
「それでほとんど同じ金額よ」
「で、でも…なまえ姉ちゃんがもらったお年玉だぞ、コレ」
「いいのよ、私からのお年玉ね」
にっこり笑って木ノ葉丸の頭を撫でるなまえを見て、なまえの成長を感じた。いかん、視界が滲んでくる。こりゃ今年も1年、木ノ葉は平和になりそうじゃのォ…よかったわい。
「なまえ姉ちゃんにお年玉もらったぞ、コレ!」
「すげー! なまえ、太っ腹だってばよ!」
「ふふ。だって木ノ葉丸は私の可愛い弟だもの」
「なまえは優しいってばよ」
「もう…鼻の下伸ばしてんじゃないわよ、ナルト!」
「げ、サクラちゃん!」
「……平和じゃのォ、子ども達は」
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