「秀ちゃん」
「はいはい?」
「ぎゅー」
「いま火使ってるから後でね〜」
「………」
「こら、抱きつくなって」
「………」
「動きづらい」
「………」
「っ……脇腹やめろ! 火ィ使ってんだって!」
「………」
「そーそー、大人しくしてて」
「まだ?」
「まだ」
「……まだ?」
「まだ」
「秀ちゃん」
「なーに」
「秀ちゃん」
「なーになまえちゃん」
「秀ちゃん」
「だから何よ」
「すき」
「俺も」
「俺も?」
「そ。俺も」
「俺も、なに」
「…俺もなまえ好きだよ」
「………ふふふ」
「…たぶん今の笑い方、コウちゃんやギノさんが見てたら口揃えて“気持ち悪い”って言うだろうな」
「ひどい」
「だってふふふって」
「もういい」
「はいはい」
「……秀ちゃん」
「もーいいんじゃなかったのかよ」
「ハンバーグまだ?」
「まーだ」
「まだ……」
「しょんぼりすんなよ」
「そうだ、この前」
「んー?」
「や、弥生がね」
「クニっちが何?」
「お……女同士で寝ることに興味はあるかって」
「っ…げほっげほ」
「秀ちゃんなんで咽せるの」
「いや…クニっちが、何て?」
「だから、女同士で…」
「まさかソレ頷いてないだろうな!!」
「頷いてないから急に振り向かないで!」
「はー、びびった」
「びびったのは私…」
「もー…なまえ部屋戻ってろよ」
「ハンバーグ」
「できたら呼ぶって」
「はーい…」

(コンコン)

「はいはーい!」
「あっコラ! 勝手に」
「なまえ、やっぱりここにいたの」
「弥生だー! ぎゅー」
「一緒にランチでもどう?」
「ちょっと! 俺が今ハンバーグ作ってるからダメだって! ……つーか、なまえはできるだけクニっちから距離を取れ今すぐに」
「どうして?」
「どうしても!」
「男の嫉妬は見苦しいわよ」
「クニっち今日はお引き取りください」

(ぱたん)

「弥生とランチでもよかったなー、今度誘おう」
「ちょっと俺の話聞いてた? なまえちゃん」
「それより私、部屋戻らなくていいの?」
「今出たらクニっちに取られそうだから。ここにいていーよ」
「ハンバーグは?」
「あ」
「………」
「……っぶねー、ギリギリ焦げてない」
「お腹すいた」
「俺も」
「火止めた?」
「んー」
「もう抱きついてもいい?」
「どーぞ」
「秀ちゃん」
「んー、なーに」
「すき!」
「はいはい俺もだよ」
「んー」
「…何ソレ。おねだりのつもり?」
「ん」
「……いま皿持ってるんですけどねぇ」
「んー!!」
「わかったわかった! ちゅー」
「ふふふ」
「……」
「? なに」
「……いや? せっかく作ったしメシ食ってからでいーや」
「??」
「まさかこんなんで満足してないよな?」
「……(はっ)」
「ま、あとでゆっくりね〜」
「………」
「…なんで離れんのさ」
「身の危険が…」
「随分今更なこと言うなぁ、はいはいごはんしよーねー」

(ずるずる)

「ああああぁぁ……」



(はい、ごちそーさん)

[ back ]