「ほら東堂、仕方ねェから譲ってやんよ」
「な、何をだ」
「運転席」
「!! う、運転席……!?」
「泉田と真波は2列目か」
「真波、外側行ってみろよォ」
「外側?」
「右端は一番揺れんだぜ?」
「外側がいい!」
「譲ってやれよ泉田」
「そのつもりです、酔いそうなんで」
「暴れんな! シートベルトしろよォ!」
「はーい!」
「泉田、シートベルト確認してやれ」
「まるで親だな」
「カチッて鳴るまで入れなさい」
「なった!」
「よし」
「ままま待ってくれ! 運転席は嬉しいが、よく考えたら最前列ではないか!!」
「インディでも写真撮られるんだぜ、尽八」
「!? 写真…」
「撮るタイミングでちゃんと教えてやるよ」
▼
「インディー!」
「待て最初のカーブがすでにキツイ死ぬうう」
「音が大きいな」
「なんでフクはそんなに冷静なんだ!」
「骸骨だ、骸骨がこっち来る!」
「真波! 手ぇ伸ばすな!」
「うおおお本当に魔宮みたいだああ!! うわああ!」
「なんでお前基本そんなウルセーの…」
「そう言うな靖友」
「しっかりしろよォ、運転手!」
「そそそんなこと言われてもおお」
「もはやハンドルにしがみついてるだけだな」
「尽八ほら見てみな」
「えっ」
『不届き者!!!!!!』
「ああああああああ許してくれえええ」
「…」
「…」
「すごい! 空気弾だ!! もわってする!」
「真波落ち着け、立つな!」
「東堂は涙目だな」
「タワテラよりはマシだけど」
「ちょっ助けてくれインディイイイイ」
「ほら尽八、ちょっと気持ち左上に向けて決めポーズだ」
「えっ(反射で決めポーズにキメ顔)」
「ほら泉田真波! 写真だぞー」
「はーい」
「(普通の記念撮影のノリだな)」
「揺れるけどポーズは保てよ、尽八」
「どういうことだっぅあ今撮られあぁああああ」
「るっせーーー東堂ォオオ!」
▼
「も、もう…だめだ……」
「おつかれさん」
「死ぬ…」
「福チャンどうだった?」
「まるで本物の遺跡の中の道なき道をジープで走っているかのようなクオリティで、素晴らしかった」
「雑誌の見所紹介みたいなコメントだな、寿一」
「先輩! オレ、これももう1回乗りたいです!」
「なら東堂説得してこいヨ」
▼
「写真見ようぜ写真」
「寿一はいつも通り無表情だな、靖友はガラ悪いし」
「あァ!? っだよケンカ売ってんのか新開!」
「真波は楽しそうだな」
「泉田、写真で分かるくらい白いけど大丈夫か」
「ちょっと酔いました…でも、もう平気です」
「そんでやっぱ……くく…尽八…」
「顔とポーズだけは決まってんだよなァ」
「写真撮る直前と直後は叫びまくってたくせに、しっかりカメラ目線で決まってるぞ」
「新開だって、いつものバキューン☆のポーズしてるじゃないか! カメラ目線で!」
「尽八だけ決めポーズしてたら恥ずかしいだろ?」
「やめろそんな心遣い!」
「よし、この写真も買っていこう」
▼
「さっきのタワテラの写真画像、巻ちゃんにLINEで送ったら既読スルーされた…」
「だから言ったろ、イラネーって」
「坂道くんに送ったら返事来ましたよ? 総北は一昨日がシーだったみたいで」
「一昨日?」
「ボクたちもタワテラ乗ったよって、写真貰いました」
「まさか、巻ちゃんも写ってるのか? それ……」
「巻ちゃん…? ああ、巻島さん! 写ってますね!」
「え!!!」
「ちょ、見せませんよ! 坂道くんが特別にって送ってくれたんですから!」
「ま゛ぎぢゃん゛!!!」
「まあ、巻島さんは笑ったりはしてないですけどね。坂道くんは魂抜けた顔だし」
「ぐぅ……巻ちゃんにLINEして直接貰う!!」
「東堂おま…」
「いいや電話をしよう!」
▼
『……何ショ』
「もしもし巻ちゃん!? タワテラの写(ブチッ)巻ちゃあああん!?」
「ドンマイです、東堂さん」
「くっ…巻ちゃんは照れ屋だからな……」
「(ポジティブだ…)」
「そうだ真波! メガネくんに電話してくれ!」
「え、坂道くんに?」
「はやく!!」
▼
『もしもし』
「あ、急にごめんねー坂道くん。あの……」
「もしもしメガネくんかね? 実はオレに総北のタワテラの」
「ちょっと東堂さん」
「写真を『なんや小野田くん、誰からや!』『切れ坂道ィ』『えっ巻島さ『切っていいショ!』(ブチッ)………」
「だ、ダメだったみたいですね」
「ま゛ぎぢゃん゛ん゛!!!」
▼
「あ、あの……電話、切っちゃってよかったんですかね?」
「問題ねーっショ。こっちはミーティング終わりで疲れるんショ」
「……」
「ガハハ! 巻島、情けない顔してたから見られたくねーだけだろ?」
「田所っち黙るっショ!」
「うわ、ボトル投げんな!」
「部室で暴れるな、お前たち」
「っショオオオオ!」
「なんや? 何の電話やったんや」
「鳴子くん! あの、なんかタワテラに乗ったときの写真の画像を、東堂さんが欲しがってるみたいで…」
「……あー…巻島さんが写っているからか」
「今こっちで喋っとるんや! 入ってくんなやスカシ!」
「何だと!」
「まーまーまーケンカしないで! ね!」
「杉元は黙っとけ!」
「えぇえ…」
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