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目の前に現れた彼女はあの時と変わらず、あの日見た、鴇色の瞳は今も変わらずあの頃のように輝いていた。

「お久しぶりです、マルコさん」

彼女の優雅な笑みに魅入られたのは声を掛けられた本人だけでなくその周りにいた男達もまた、彼女の瞳に囚われてしまったのだ。






桜咲く日に恋が散る
火曜日に見つけたセンテッドゼラニウム






翌日、白ひげ海賊団は冬島に上陸していた。
身を刺すような冷たい空気の中、息を白く染めながらマルコは隊長たちやクルーに指示をする。

「4番隊はいつも通り買い出し、今回の船番は1番隊と16番隊、物資調達は3番隊、7番隊はナースの付き添い、5番隊は街を回って酒場の確保、貸し切りにしろい。残りの隊は自由にしてていい。明日からの日程は各隊長に通達しておくから後で確認しとけよい」

仕切るマルコの話を無言で聞く千人を超えるクルー達は話が終わると野太い声で返事をし、それぞれの役割についた。

帆を畳み、錨を降ろす。
後ほど物資の搬入がある為甲板に散らばるゴミや樽などを片付けたりと様々だ。

隊長たちは各々の隊員たちに激を飛ばしてからその体格の良さを活かして力仕事を請け負う。


ある程度片付けが終わると、船番以外の隊員は甲板から飛び降りたり、船内から船底の出入口から分からないけど島へ降りていく。


30分もしないうちに僅かな活気を残して静まり返るモビーの甲板で見聞色の覇気を広げながらマルコは周囲を警戒する。
その様子を真面目だねェと煙管を蒸しながら笑う16番隊隊長のイゾウ。

「マルコ、お前さんは明日島に降りるのかい」
「イゾウか。あァ、一応その予定だが……またラクヨウとサッチの野郎が書類を出してねェからまだわからねぇよい」
「ふふ、真面目だねェ。少しくらい手を抜いたって誰も文句言わねェだろうに」

くつくつと笑って言われた言葉にため息をつきつつマルコは海へ目を遣る。

「話を戻すとね、明日、俺も島に降りるからひと声かけてくれってことだ」
「イゾウが?珍しいねぃ、前回降りたのは……三つ前の島だったか?」
「あぁ、目当ての菓子が置いてあってね。それが無いと降りる意味ねェからな」
「荷物持ちってことかよい」
「甘いモノ嫌いの長男坊に和菓子の良さを教えてやんねぇとな、クックック」

マルコは本日何度目になるかわからない深いため息をついて、渋々了承の意を示した。