君を待つのは、




俺は彼女の優しげな瞳でふわりと笑うその笑顔が好きだった。

いや、だった、ではなく今も好きだ。

だけど彼女が選んだのは俺ではなく船長のローだった。

当然の成り行き、と言ってもいい。
それくらい俺の目から見てもローは彼女が好きだったし、彼女も同じようにローを想っていた。


彼女のことは好きだが、それと同じくらい別の意味でローのことも慕っていた俺は彼女に想いを伝えようとは思わなかった。

それが功を奏したのか、彼女と俺はとても良い関係を築けている(と思いたい)。

朝のコックが仕込みをしている間の、クルーが起きて食堂へ来るまでのほんの少しの時間。

俺は彼女と他愛のない話をして過ごすのだ。

それは一日で一番の楽しみになって俺はそれだけのために早起きをする。

だけど、楽しいことばかりじゃない。

彼女の口から船長の名前が出る度に胸を刺すような痛みが走る。

自分で選んだ道だが、辛い。
けれど朝のその時間に行くことをやめようとは思わない。

自分でもなかなかにどMだな、と自嘲気味な笑みが零れる。



だってそれが俺の、俺だけの喜びなのだから




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