籠 り   main diary mail reply  
SideA
※この先はゲーム本編クリア+『目の前に立つ人』+『廻り廻って』読了後を想定したおまけとなります。ご注意下さい。















【sideA】
 アップロードした動画は『渉』の手足を増やすためのものだった。だから、本当はこちらへ引き込むつもりだった。
 しかし対面で話してみて分かったのは、この人は『あざみ』などのようには自由自在に動かせる駒ではないことだ。兄のように自分で考え、自分で探し、自分で解いてしまう。だから、調査員などと称して身近に置くにはリスクの方が大きかった。『呪いの仕掛け人』をすぐに探し当てた時のように勘が働き、『あざみ』よりも先に『渉』の真実に気がつき、この計画の障害になってしまうことが予想できる程度には危険だった。
 対話しながら籠絡することも考えたが、身体の関係もあり、それだけでは制御できるような人物でないと判断した。そこは私に似ているようだ。
 だから、そんなあなたが私を選んだ時は脳髄まで痺れたような感覚がした。鳥が自ら鳥籠に入ってくるようなその行動には支配欲が満たされ、悪寒が走るほどに興奮した。
 『渉』のおかげで手に入ったとしても結局は私のものだ。

 全く縁のない国へ行き、孤立させ、自分が作った何不自由のない部屋の中で暮らさせる。これ以上ないほどの鳥籠の完成だ。
 初めに惹かれたのは『渉』だったことは知っている。だが、私が『渉』でもあることを告白した時、既に気付いていたのかすんなりと『私』を受け入れてくれた。同性だろうが異性だろうが肌を重ねることも受け入れて、そんな『私』を求めてくるあなたは、ただただ私の欲をどこまでも引きずり出していった。
 もっともっと、求めて欲しい。もっともっと、私に溺れて欲しい。もっと。もっとと。

 もう羽を折ったも同然だったが、この国での新たな計画の中に組み込むのはやめておいた。あなたには計画なんて関係なく、ただ私の鳥籠の中で愛玩動物のように在り続けていて欲しいから。
 何も知らずに帰りを優しく迎えてくれるあなたがどうしようもなく愛しい。好きだ。ずっとこのままでいたい。きっと、この気持ちを『愛』と呼ぶのだろう。
 今度こそは絶対に私が守るからね。



【sideA】
 手に入れるのは私のはずだった。そう、『私』のはずだったのだ。
 既に薄々勘付いてはいたようだが、私の身体への認識に多少齟齬があったとしてもきっとあの人はあるがままに受け入れてくれたはずだ。話したのも『私』だし、会ったのも『私』だ。『私』に惹かれていたのならそれは私のものだ。『彼女』のものじゃない。
 しかし、身体の主導権は『彼女』にある。
 だから時々、『彼女』の気まぐれとして逢える日を焦がれて待つだけなのがとてももどかしい。あなたの肌に好きに触れたい。あなたともっと深く繋がりたい。暴きたい。あなたの顔や声を、反応を、直接感じ取りたい。あなたのことをもっともっと識りたい。
 『私』もあなたに惹かれていた。また逢えたのならそのことを伝えよう。きっと愛しているのだとも。



【sideA】
 存在だけは知っているあなた。
 もし、出会えることがあればなんて言おうかな。『センター長』には悪いけど抱きしめてみてもいいかな?そして笑顔で『はじめまして』って顔を合わせて言ってみたい。それから、この国で知ったことを話して一緒に外に出かけてみたりしてみたいな。笑顔で話せる友達になりたいな。
 ……会う機会あるかな?あるよね?……多分。



250611
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