乙女side

白い天井、白いベット、白い部屋で私はベッドで横になり、私と彼の娘…シノアの言っていたことを考える。
彼…ギャラハッドが、この<秋葉原>で召喚されたという。シノアから聞いた彼の姿は、まるで違くて、実感もわかない。"人類最後のマスター"と呼ばれた彼女なら、何かわかるだろうか?



「んー、シノアちゃんの話聞く限り、そうみたい……」
「そう……ありがとう立香」
ベッドから上半身を起こし、微笑む……ふと、視界の端、目に入ったのは、花びんに入った立香らしくないチョイスの毒花____トリカブトがあった
「立香……その花は?」
腕を上げると、当分動かしてないため、震えながらフジを指さした
「なんかね、昨日かな?髪の長い男性のサーヴァントがルシアさんが寝てる間にお見舞い来たみたいで、お花置いて帰っちゃったって看護師さんから聞いたんだけど、……ルシアさんの知り合い?」
髪の長い男性サーヴァント…知り合いというなら、あのロクデナシしか頭に浮かばず、ロクデナシだったならこの花だけを選び置いていくなどありえない。もっと華やかに彩ってくれるだろう。では誰が_______
「あっ_____」

トリカブトの花言葉は、「騎士道」「栄光」「人嫌い」「厭世家」「復讐」.......そう思い出した時、私は言葉を失った。息が出来ずにいて苦しい。そう、何故か浮かぶ彼の姿、髪が長く、気だるそうな目をし、2本の剣を持つ彼。知らない、私はこんな彼は知らない.......いや、どこかの世界で会ったことがあるのか?幾度となく彼を求めて転生を繰り返してきたが、私の記憶に、脳裏に浮かぶ髪の長い彼はいないのだ。
「_____ん!ルシアさん!!」
立香の声ではっとして、立香はやっぱり体調悪いんですか?と心配そうな顔をしたが、大丈夫と言い、無理しないでくださいね?っと私を気遣った立香は足早に帰ってしまった。私は1人残された白い部屋でトリカブトをただ見つめることしか出来なかった。



目が覚めると、いつの間にか朝だった。起き上がろうとしようとしても起き上がれない。胸がいつも以上に痛み、息が苦しい。あぁ、私は今日消えてしまうのか。そう思い、ベットに横たわり、今までの出来事を思い出す。ただの妖精だった私が彼を求め、様々な世界、次元へと転生を繰り返し、ここへと収まった。立香とマシュ、ロマンとレオナルドと人理を修復.......ホームズと再開し、クリプターとも戦った。そして彼に再会した。聖杯の力で娘であるシノアを産むことも出来た。私はもう満足したのだ。これで私は転生を繰り返すことなく消えるのだろう。自然と消えるのは怖くなかった。シノアという忘れ形見がいるが、きっと立香がいい魔術師として育ててくれる。そう信じているから_____

「ごはっ______」
吹き出したのはおびただしい血、血、血…。カルデアにいた沖田さんもこのような気持ちだったのだろうか。口の中は血の味だ…苦しい、痛い、息ができない…息は口からヒューと力なく出るばかりでうまく吸い込めない目の前も霞んできた。あぁ、もう終わりだ…そう思った時、病室に花を持った誰かが入ってきて、驚いたように私をみてる。私はそれが直ぐに誰かわかった…

「______ハ____ルタ…ごほっ…」

血を吐き出すのに構わず彼に向かって手を伸ばす。オルタでも、私の愛した彼と変わりはないから、彼も手を取ろうとするがあと数センチ、数ミリというところで足りず、手は触れ合うことなく崩れ去り、その場には心肺停止の電子音と涙が落ちる音が響いた。


ナースコールは押されていて、病室にはスターチスの花束が残されていたそうな。