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生きることに幸せが見出せなくて、逃げる先を必死で探した。誰でもいいから救ってほしくて、でもいくら手を伸ばしてもつかんでくれる温みはいつまでも訪れなかった。いつの間にか目の前にはひもがぶら下がっている。首を通せそうだと考えて途端に怖くなった。生きることは苦しい、かといって死にたくもない。結局幸せなんてどこにもないんだね。

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やりたいことがしたいの。考えたくないことは考えたくないし、見たくないものは見たくない。幸せの上澄みだけをすくって生きていきたいの。たとえその先に待っているのが泥沼だとしても、今は一時の幸せを楽しんでいたいの。何がいけないの、苦しいことは誰だってしたくないでしょ。
たとえば何かを生産するとき、劣化品は処分されるでしょ。人間だってそう、劣っている人間は処分されるべきなの。そして私はそっち側。首を吊っても毒を飲んでもどこかから飛び降りても、劣化品を悼む誰かなんているはずもないの。醜くなろうが内臓が破裂しようが脳漿をぶちまけようが、誰も見向きもしないの。そんなことないと思う?こんな絶望的なこと、私以外の誰も思わないと思う?じゃあ絶望の淵に立ってみるといいわ。自分の存在価値なんて一瞬で吹き飛ぶんだから。

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お前など。続く言葉はいつだってマイナスであった。いらない、生まれなければ良かったのに、死んでしまえ。救ってくれる誰かなんていなかった。もしかしたら救われることすら拒んでいたのかもしれない。誰にも知られたくない弱みが強がりに訴えかける。その度に彼は泣き崩れるのであった。
誰も望まない言葉を吐き出した。嫌われることをたくさん言ってきた。可愛くないと後悔することも数知れず。「お前など」いつだってその言葉を課すのは自分から自分へ。

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かわいそうな人ねと彼女の亡骸は笑った。だからこその美しさ、だからこその芸術。死んでも綺麗な人に会えて僕は嬉しかったよ。ナイフを右手に、フォークを左手に。酷いことをすると罵られても、僕は切り分けることをやめない。これはどんな儀式よりも神聖なように僕には思えた。
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