murmur

●●● サルベージ
旧サイトからのサルベージです。
サルベージのサルベージになってしまった……笑


教会組と学生ヒロインサルベージ




「随分と遅かったではないか」

気配もなく突然後ろから浴びせられたそれを聞くに、声の主はどうやら大層お怒りのご様子だ。恐らくだが今振り返れば、壁に背を預け、腕を組む俯き加減の金髪男が少し離れた位置にいるだろう。私がその姿を収めて数秒の後(のち)ゆっくりとこちらに向き直り顎を上げ、最終的には偉そうに見下した視線を向けてくるはずだ。

「………ええと、もしかしなくても、ギ」
「よもや今朝方の話を聞いていなかったわけではあるまい」
「話ってどれ、って怖っ怖いな!?ごめんごめんなさいほんとごめん思い出します待って下さいごめんなさい」

振り向けば圧倒的な威圧感に思わず目が潤む。ほれ見たことか、自分でも驚くほど寸分違わずその通りじゃないか。

「――ええとあの、もしかして門限の件?」

なんて恐る恐る切り出せば、それ以外に何がある、と酷く不機嫌に彼は言う。

…まあ何だ、確か今朝、朝ご飯をここで戴いた際にそんな話が出たような気がする。18時が門限だと。目の前の金髪とエセ神父からそれはそれは厳しく。あまりの馬鹿馬鹿しさに何言ってんだこいつら…と隣にいた青髪の男と無言で目を見合わせたような気もしなくもない。

「でもそれクーちゃんが話聞かなくていいって言」
「何だと?あやつめ、犬の分際で」
「ごめん何でもない」

…間違えた。いや間違ってはいないのだが、ここで言うのは駄目だった。私のうっかりでこの教会での唯一の良心が死んでしまう。

「悪かった、そうじゃない、待って聞いてギルガメッシュ」
「何だ、今の我は機嫌が悪い。――そうとも、よくよく考えてみれば貴様は王たる我よりもあのような犬の戯言などを優先するような女であったな。これ以上口を開けばここで今すぐ八つ裂きにしてやってもよいのだぞ」
「あまりにも理不尽!じゃなくてギルガメッシュ。門限はおかしい。ここは私の家じゃない」
「…………」

今にも私を切り捨てんばかりの、物凄く恐ろしいオーラを放つ暴君がその一言でぴたりと静止した。ぐっと眉間に皺を寄せて私を見ている。まるで責めるように、恨めしそうに、……いや、不貞腐れているのだろうか?ともあれそんな目で見られても困ってしまう。
繰り返すが、私の家はここではないのだから。




ぶすくれてしまった金髪ことギルガメッシュが無言で膝を抱えている。少し前に綺礼に「夕食の席で行儀が悪いぞギルガメッシュ」と窘められてからも全く聞く耳を持たなかった英雄王の成れの果てがこちらである。
そんな残念王を前に仕方なく、私は先程から残念、もといギルガメッシュの頭の上でぽんぽんと軽く手を弾ませたり髪を梳いたりして遊んでいた。撫でるというには粗暴なこの行為はギルガメッシュ的にあまりお気に召さないようだが、それでも少しずつ機嫌が戻っているので良しとする。

「ところで綺礼、クーちゃんは?」
「今は外に出ている」
「そっか。怪我しないといいけど」
「お前がわざわざ心配してやる程のことでもない。奴には程々にして帰って来いと言っておいた」
「…程々の基準がみんなおかしいからなあ」

よく分からないが、綺礼はただの人間ではなくサーヴァントとかいうなんだかすごくつよいスーパーゴーストを召喚してしまうような超神父様だ。しかもホンモノの魔術師らしく、サーヴァントのクーちゃんは綺礼と契約しているから綺礼の魔力でこの世に存在してる…らしい。昔はギルガメッシュもそうだった。
そんな人たちの言う“程々”が私の知る“程々”で済んだ試しなどなく、何度心臓の止まる思いをしたか知れたものではない。特に10年ほど前、ギルガメッシュが現れてからは。

「と、言うわけでギルガメッシュも無茶しないように」
「フン、雑種に命令される筋合いなどな痛っおい!貴様王の頭を叩くとは何事だ!」
「ごめーんつい力入っちゃったみたいー。ね、綺礼もだからね」
「そうだな、善処しよう」
「軽いわ。ホントかよ。私これでもみんなのこと心配し」
「勿論理解している」
「じゃあ何で遮った今」

少し厳しめの口調になってしまったのは、彼らに多大な前科があるからだ。いきなり教会からいなくなったり、傷だらけの血みどろで帰って来られたり。今まで住んでいた所が燃えたかと思えば、見知った金髪が布1枚隔てただけの素っ裸で現れたり、受肉したとか吐かしたり、突然若返って可愛くなったかと思えば元通りになったり、綺礼が突然青髪拾ってきたり、などなど。何も知らない身からすればその都度大混乱である。

「…心配、か。我々に無茶をするなと言うならば、お前は直ぐにでも居をこちらに戻すべきだと思うが?」
「あっそれはムリです、これ食べたら帰ります」
「何だと!?」






ここまで書いて「あ、無理だ」と思い直し、一から設定を作り直して出来上がったのがなんとあのギルガメッシュ連載という…。
教会組好きなのでいつかこういうほのぼの書けたらいいなとは思っております。

本編の次話は書けているので、日付が変わり次第更新します!
//// 412(2017)


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