murmur

●●● ブランカ巌窟王イベその2 シリアス分岐
旧サイトからのサルベージですその3。
復刻で無事お迎えできました!



※ネタバレ注意かもしれません










ぽろり、と零れ落ちたものがあった。

「………あ、」

そうか、泣いたのか。博士やマシュが安堵の表情で言葉を掛けてくれている。ここは、ああ、カルデアだ。私の場所だ。そうか。……そっか。

「────マスター?」

今にも消えそうな弱々しい声だった。まるで捨てられた子犬のような、縋るような声がした。横たえていた身体を起こす。随分と重い。カルデアとあちらでは時間の経過が違うと言われたような気がするが、体感としては数日の間殆どと言っていいほど意識を監獄塔に置いてきていたものだから、こうして生身の身体を動かすのは実に久々だった。
…いや、今はそんな場合ではなくて。

「ディルムッド」
「、」
「ごめん、心配かけちゃったねぇ」
「………いいえ、いいえ……!っマスター、良かっ、…よく、ご無事でっ…!」

ひざまづいた体制のまま目を赤らめたディルムッドの頭を撫でてやる。ああ、たくさん心配かけちゃったんだなぁ。みんなの様子だと、この後でクー・フーリン達にもこっ酷く叱られそう。そんなことを考えながら震える声で俯いてしまった騎士を見つめていたけれど、いよいよ私の方も涙を塞き止めていられなくなってしまう。崩れ落ちるようにベッドから降りるとそのまま縋るようにディルムッドへ抱き着いた。「どうなさいました、主…!?」なんて声を無視して、わんわんと泣き叫ぶ。

「私、一緒に帰りたかったの…!」
「…?」
「マスターって言ってくれたのに、わたし、ずっと一緒だったのに…っ!!」

慌てて抱き留めてくれたディルムッドや、マシュ達が驚きと戸惑いの声を上げている。フォウが気遣うように傍に降りて、きゅうと小さく喉を鳴らした。

エドモン・ダンテス――――その名を呟いた私を許すと言ってくれた、優しき復讐の鬼。
いつか彼の欠片と再び相見えることが出来るのなら、必ず恩を返さなければ。






書いたけどシリアスにする予定がまるでなかったのでこちらへ。
巌窟王めっちゃ好み。ダークヒーロー最高。
//// 412(2017)


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