久々の陸地に暫しの停泊。

 だだっ広い草むら、頭上には遮るものもなく、空が広い。

 良いところを見つけたと思って、寝っ転がって空を仰いだ。

 夏の日差しは強いけど、強く吹く風が暑さをさらってくれる。
 心地よさに身を委ねて、薄い雲が風で流されていく様子をぼんやり眺める。

 どれだけの時間そうしていたのか
 気がつくと、さくさく、草を踏む音が聞こえてきて、影をつくって覗き込むサンジの顔。

 抜けるような青い空と影を纏ったサンジがなんだか絵になるなぁ、と見とれていると、反応のないわたしを不思議に思ったのか、何してるの?と声をかけてきた。


「日光浴?」

「ずっと浴びてたら焼けちまうよ?」

「サンジもやってみなよ、涼しいよ。」


 じゃあ、と寝転がるサンジを横目で見る。

 確かに涼しいな、そう言って手に持っていたタバコをくわえて、吐き出した煙が空の雲と同化して見えた。


「サンジは空も似合うね。」

「...そうかな?」

「海も空もにあう。」


勝手な感想を述べて目を閉じる。


 肌にじりじりとあたる日光が日焼けを作っている感覚。

 吹く風が運んでくる青草とタバコの香り。

 隣に感じる大好きな人の気配。


 ふと、日差しが和らいだような、まぶたの外が暗くなったような気がして、お日様が雲に隠れちゃったのかな?と薄く目を開ける。

 影をつくっていた原因が目に入って。
 驚きの声をあげる間もなく塞がれた唇。
 軽く合わせてすぐに離れるくらいの軽いキスだったのに、不意打ちとは卑怯だ。

 サンジは口の端をニヤリと上げていじわるく笑っている。


「そんな無防備だと、襲われちまうよ?」


 襲ってからいうな、顔の熱さを誤魔化すようにサンジのほっぺをむに、とつねった。



 でれっとした、だらしない笑顔もまた愛おしいのだ。

 

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