背中合わせのデュエット
 いつもそうだ。

 彼は私を置いていつも前へ前へと進んで行く。私はいつもおいてけぼり。


「何でLが日本にいくのよ……」

 Lに呼び出され、来てみればいきなり日本に行きますと言われた。

「今騒がれているキラ事件の犯人は、日本にいる確率が高いからです」

「だからって今まで通りパソコン越しからの指示でも…!」

 Lは私を諭すように、ゆっくりと語りかけた。


「いいですか、名前。私はこの事件に命を掛けています。日本へ行くのは、その方が対応も早くできて何かと都合がいいからです」


 そんなこと分かってる。


 だけど不満はそれだけじゃない。


「じゃあ、私も一緒に行かせてよ」
「それは出来ません」

 これまでにない強い口調でLはそう言った。


「なんで…!」
「今までは良かったですが、今回はそうはいきません。まだキラの殺し方も分かってない状況で、貴女を連れては行けませんから」

 またLが遠くに行ってしまう。
 今度こそ、私が追いつけない所に。


 何故かそう直感して、私はLに手を差し出した。

「もう止めよ? これからは私とLとワタリさんとで静かに暮らそうよ。
そうすればもう傷つかなくてすむ」

 差し出した手が震える。

「大丈夫ですよ、私は負けません。
名前は私が負けたところを見たことがありますか?」

 負けません。私は。

 Lはまたそう言うと綺麗に笑った。
 その言葉が私には、自分自身に言い聞かせている様に思えた。
「L、貴方の為に出した手だけど……

今はこの手を取ってもらいたくて仕方ない」


「……」

「負けないって信じてる」

 私は不器用に笑った。

「私は自分の事より名前の事が心配なんですけどね」
「どうしてよ」
「貴女は寂しがり屋です。今まではこうして一日中居ますから気付けましたが、これからはそうはいけませんからね」
「L……」

 ダメだ……
 そんな事言われるとますます離れたくなくなるじゃない……。


「……しばらく会えませんが、

  折れないで下さいよ」



私はLの首に手を伸ばして抱きしめた。



『Lもね』




孤高なる貴方に
餞別のキスを




────遠くで警報が鳴り響く


END
愛してなじって罵って