その後、俺はコッソリ名前の遺体を兵団には届けず、俺たちとの思い出の場所に埋めた。
他の奴らと一緒に何処に埋められて居るのか分からないなんて、まっぴらだった。
そして今日。
一年が経ちそこへ訪れると、この前来た時には無かったモノがあった。
それは血のように赤い彼岸花が1輪。
「………どういうことだ」
勿論俺は彼岸花の球根なんて植えてない。誰にも言わず、ひっそりと埋めたのだ。誰かが植えたと考えるのもどうだろう。
「……………ああ、そうか」
ふっ、と俺は笑った。
あいつがいなくなってから、笑うということが酷く久しぶりに思えた。
名前がいなくなった後、俺はこれまで交わしたあいつとの会話を思い出しては懐かしむ日々を送っていた。
喧嘩した事、仲直りした事、笑い合った事。
どれも、いい思い出だ。
そして名前との彼岸花での会話。
俺はその後名前の言っていた、花の咲く意味について考えていた。
何故だかは分からないが、何だかそれがあいつから出されたクイズの様な、気がしたからだ。(消失感を紛らわせる為だったのかも知れないが)
だが、これと言ったものはなかった。そんな時、たまたま目に入ったのが、花言葉と云うもの。
どうやら花にはそれぞれ象徴的な意味があるらしい。
一つだけではない花言葉の中から、俺はあるヤツに目を奪われた。
「なぁ、名前。俺は今凄く嬉しい。お前にまた会えたんだからな」
お前もそうだろう?
俺はその赤い花弁を優しく両手で包み込むとキスを落とした。
地面に赤い花を咲かせた君は、世界で一番美しかった
(彼岸花の花言葉──また会う日を楽しみに)
再会を願って、彼岸花は咲き続けるのだと思う。
END