死にたがりの殺人鬼
ーーーこの世に神なんて存在しない。
「なァ、名前、死ぬのは怖いか?」
「これまた唐突ね。
……うーん、やっぱり怖いわ。自分の意識が無くなるっていうのは」
彼の赤い目が、私を捕らえて離さない。
「なに、もうすぐ私死ぬの?」
「いーや?……ちなみに俺は怖くない」
迷いなくキッパリとそう断言する彼を見て、あぁ、ビヨンドは強いのね。
なんて少しずれた事を思った。
「むしろ俺は人の最後に死がある事を嬉しく思う」
「変態ね」
「キャハハハ!変態?
変態じゃない、俺はーーー」
「……ハイハイ、ビヨンドは究極変態よ」
するとビヨンドはまた嬉しそうに、高らかに笑うのだ。
キャハハハ……
ゲラゲラゲラ……
ククククク……
「いいか、名前。俺は何人もの奴らを、色んなやり方で殺してきた。
もう殺すのは飽きた。
俺は今、どう死んでいくかにしか興味がない」
「ーーーーっ、」
真っ赤な瞳は、私を見ている様で私の事など見ちゃいない。
遠く遠くのーー死。
「ビヨンドの目には……自分の寿命が見えてるの?」
「俺?俺には見えない」
前に聞いた。
ビヨンドの目は人の寿命が見えていてる、と。
神は人に使命を与えるというけれど、何故ビヨンドにだけこんなにも過酷な使命を与えるのだろう。
私は愛しいビヨンドを少しだけ哀れみ、
過酷な使命を与える神を少しだけ恨んでいる。
死にたがりの殺人鬼
(彼だって1人の人間なのに)
END
愛してなじって罵って