後半は耳に入らなかった。
「薬を出したのは?」
「貴方の安全は保障します。」
「直ぐに腸と胃の洗浄をしてから……」
立て続けに並べられる言葉は私には信じられないものばかりだった。
会社の検診で再検査だと言われ大きな病院で精密検査を受けた後日、結果を伝えるから1人で来るようにと電話で言われた。それから服用している実際の薬を持ってくるようにとも。
「これは意図的なものです。この薬は整腸剤じゃない。与えたのは誰ですか?貴方の今までの服用履歴にはここ何年かは年末の風邪薬だけみたいだけど。」
言葉に詰まって俯く。目の前のこの女性に見つめられたら、そこからすべてがバレていくような気がした。
「大丈夫。怖い?さっきも言ったけれど貴方の体は限界を迎えている。このままじゃ─────
言ってくれれば警察が適切に対応するし、治療費も請求できるわ。」
怖い?
そりゃあ怖いわ。だって今まで信じてた人の恐ろしい計画と裏切りを知ったのだから。そして何よりも恐ろしいのはそれでも尚、私はチョコラータの事を一番に案じているということ。
私が言ったらチョコラータは終わりだ。
チョコラータが居なくなったら?
私は……?
「分かりません。」
医者は目を丸くした。
「ごめんなさい、なにも、知りません。分かりません。そうだ、用があったのでもう帰りますね……。」
早く家に帰りたい。何時もの薬をチョコラータから貰って、甘えて甘やかされてどろどろに溶けて眠りにつきたい。
彼の行いは、神さまにだって教えられない。
Another END
20190618