スマホの目覚ましが鳴る。ぱちっと目を開けてグッと伸びをした。外は薄明るくなり始めている。パイプベッドを降りると、それはギシッと音を立てた。時刻は早朝、の類である。
洗面台に向かって頭の布をとった。顔を洗う。タオルをとって吹く。髪をとかし、その場にあったゴムとピンを使って頭の上にあげた。上からスプレーを施し、最後にネットをかぶせ、後れ毛が一切落ちないようにする。鏡に映った自分の顔は知らないまま。
クローゼットを開け、いつものシスター服を取り出した。頭が崩れないようにヴェールを先につける。シスター服を着て、その上から白いケープをつけた。いつものスタイルの完成だった。もう一度洗面台に向かい、鏡で確認してから問題ないことを知る。
「参りましょう」
自分に言い聞かせるように、靴を履いて部屋の戸を開けた。ほんのり湿った、生暖かい気温が体にしみる。と、同時に隣の部屋の戸も開いたことに気づいた。隣はいつも利用している定食屋の店主が住んでいることを思い出し、そちらを見た。
「おはようございますわ、カヅラさま」
「あ、おはようっす! イヴさん朝早いっすね」
朝もだいぶ早いと言うのに、彼は変わらず明るく快活な雰囲気を絶やさなかった。パッと花が咲いたような笑顔が可愛らしく、思わず笑顔が漏れる。
「あら、カヅラさまも早いではありませんか。わたくしはこれから教会で一仕事ですわ」
「俺も買い出しっす。へへ、お互いお仕事っすね」
「ええ、ええ。本日も頑張って参りましょうね」
エントランスに向かいながら、軽く会話を交わす。今日のお昼は彼のお店で取るのも良いかもしれない、と考えながら、お腹が空くのを感じた。
「またお昼くらいにお店の方にお伺いしますわね」
「あざっす!」
軽く手をあげて居住区の前で別れた。太陽がもうすぐ、昇ろうとしている。