教会には様々な人が訪れる。神を信じるもの、信じぬもの、興味がないもの。どんな人でも受け入れる寛容さが教会にはあるからだ。
「あ」
 教会裏の庭に出ると、その人を見つけた。芝生の上に腰を下ろしてぼんやりしていたのだろう彼は、物音でこちらに気づいたのか小さく声をあげた。
「こんにちは。あの……入っちゃいけませんでしたか」
「いいえ、いいえ。構いません。お散歩中でございましたか?」
「はい。それじゃあお言葉に甘えて……休憩させてもらいます」
 丁寧に彼は微笑んだ。だいぶ穏やかで感じのいい青年だった。
「ええ、どうぞ。よければわたくしもお隣に?」
「もちろん」
 快く隣を開けてくれた彼に甘えてそこに座る。まだ少し涼しい気温は、爽やかに体を包み込んだ。彼は恐る恐るという感じで口を開く。
「あなたはここの……シスターさんですか?」
「ええ、そうですわ。もし何かお困りの時はどうぞ、この教会へ」
 緩やかな時間がそこに流れる。

迷い込む / 胤森肇



back to top