毎朝、教会の周りを掃除するのが日課である。もちろん、毎日掃除しているからそこまで汚れてはいないのだが、やはり時折気になるものがあるものである。あまり目にしたくないものや、見つけて嬉しいものまで。今日は後者だった。
拾い上げたその紙は薄く、小さく。しかししっかりと紙飛行機に折られていた。中身を開いて読んでみると、心がほんのり暖かくなるような気がする内容である。
『七月一日、古書街さんより』という言葉で締めくくられたその手紙が、例えば自分にのみあてられたものではなかったとしても、こんなに心が温まるものかと感心する。日記という形で名前も知らぬ人へ定期的に手紙を書いてはいるものの、それがどこかに届くことがないと自分でわかっている。誰かへ届く手紙を書いたのはいつの話だったか。記憶すらも朧げなほど遠く昔の話のように思えた。
教会の掃除を少し早く切り上げて、妹の朝ごはんを作る前に部屋へ戻った。だいぶ昔に買った便箋を取り出して、机の上に広げる。さほど時間はない、ただ……もらって嬉しかった手紙に、返事をしたくて。
さて、どんなことを書こうか、と白い紙にペンを走らせる。
*
妹が学校へ向かったのを見送り、部屋の片付けを終えてから部屋を出た。今日の予定もまた未定ではあるが、一つだけ決まっている。ポケットにしまった書き上げた手紙を古書街という、おおよそ男性へ届けることだ。
まだ手紙のことしか知らぬ彼が、どんな人なのか。まずはどう探そうか。誰か、街の人に尋ねてみればわかるだろうか。彼にこの手紙を手渡せるのが、楽しみで仕方がなかった。
(手紙)
古書街さま
古書街さまから送られた幸運の紙飛行機を受け取りました。イヴ・フィッツと申します。円玖の教会でしがないシスターをしておりますわ。
紙飛行機を受け取って、そういえばしばらく手紙を書いていないことに気づきましたわ。こうして今筆をとっているのは、古書街さまへその感謝を伝えようとした結果でございます。
古書街さまにはまだ、わたくしお会いしたことはありませんけれども……それでもあなたさまが大変素敵な、人と人の繋がりを大切にしてくださる郵便屋さんであることはすぐにわかりました。
これは大変おこがましい申し出ではございますが、ええ、もし、可能でありますなら、わたくしとささやかなお手紙を交換していただけはしないでしょうか。もちろん、古書街さまがお暇な時で構いませんわ。
それではお返事をお待ちしております。
イヴ