アルプヤルナ

ENMASAMASUMMER ワードパレット

口の中にふんわり甘く、暖かい味が広がる。香りもさることながら、味も自分好みの美味しい紅茶だった。ゆっくり飲み込むと、温もりが喉を通って胃に入る、その感覚がよくわかった。

「美味しいですわ、ルカさま!」
「それは良かった。この前のものとは少し違ったものだけれど、気に入ってくれて嬉しいよ」
「ふふ。紅茶はとても良いものですわね! ええ、ええ、体だけではなく、心まで温まるようですわ」

 もう一度白いカップに口をつけてゆっくりと味わう。目の前でルカが嬉しそうにニコニコと笑っているのをみて、微笑み返す。

「それにしても、ええ、最近は暑くなって参りましたね、ルカさま」
「うん、そうだね。暑くても紅茶の味は変わらないさ」
「ええ、もちろん、ええ、それはもちろんですわ! けれど暖かい飲み物は、寒い時に飲むのも乙なもの、とわたくしは存じておりますの」
「もっともだと思うよ。だが……これからはもっと暑くなるだろうね」
「あら、それでもわたくしはまたこのお店で紅茶を飲みますわ」
「店が潰れずに済むよ」

 はは、と笑ってカップに口をつける彼は、ふと何か閃いたように席を立った。その勢いは突風のようで、紅茶の葉が並ぶ棚の文字を眺めながら考え込んでいるようだ。

「ルカさま、ルカさま、また新しいブレンドレシピを思いついたのですか?」
「ああ、今ピンときたんだ……えーっとたしかこの辺に……」

 夢中になるルカの姿を横目に、カップの中の紅茶を飲み干した。

「ふふ、それではわたくしはお暇しますわ。今度はお茶菓子を持参させていただきますわね」
「ありがとう、待ってるよ」

 次はどんな紅茶が飲めるのか、少しだけ楽しみに。彼の店を後にする。

ルカ先生とイヴ
ワードパレットNo.2 アルプヤルナ:飲み込む|突風|甘い