ヒーロー基礎学



雄英の授業はあんがい普通だった。

でも、次は違う。


「わーたーしーが!普通にドアからやって来た!」

コスチューム姿のオールマイトが勢いよくやってきて、クラス内はいきり立った。


「ヒーロー基礎学!ヒーローの素地をつくる為様々な訓練を行う科目だ!
早速だが今日はコレ!戦闘訓練!!!」

ためてだしたのはBATTLEと書かれたプレート。


オールマイトの入れたスイッチで教室の壁が開き、要望を出して作られていた戦闘服が出てくる。


「格好から入るってのも大切な事だぜ少年少女!!
自覚するのだ!今日から自分は……ヒーローなんだと!!」


グラウンドβにはそれぞれコスチュームを着た生徒が並んだ。





授業の内容はヒーローとヴィランとで別れての戦闘訓練。組はくじ引きだ。


「オールマイト、教師初心者みたい」

怒濤の質問ラッシュにカンペを出したオールマイトを見てボソリと呟いた。


組分けのためくじを引くと、何もかかれていなかった。

「先生、何もかかれていませんが?」
「狭間少女!このクラスは奇数だからね!余った一人は最後にくじで引いた組と戦ってもらうつもりさ!」
「二対一……」
「Plus Ultraさ!狭間少女!」


腑に落ちないながらも皆のところに戻ると、切島と瀬呂に慰められた。

「ドンマイ。狭間」
「うるさい」
「てかお前のコスチューム着物か?渋いな!」
「半裸のお前よりはいいでしょ」
「半裸じゃねぇよ!?」



私のコスチュームは上下黒の袴に、紫色のたすき掛けをつけ同じく紫色の帯の後ろに鍔がない刀をさしている。
中に着ているのが手の甲を多いそれを中指で止めている。


私の順番はまだなので、モニタールームで他の組を観戦することになった。


「………凄い」

爆豪君と飯田君対緑谷君と麗日さん。

どうやら爆豪君と緑谷君はなにやら因縁があるらしく、どうみても私事で戦っている。

結果はヒーローチームの勝利。
けれど勝った方がボロボロで負けた方が無事。酷評もさんざんだ。

それでも、その気迫や熱気は見ていた私たちにも感化された。







「よーし!それじゃあ狭間少女の相手を決めるぞ!」

オールマイトが箱に手を入れ取り出すと、書かれていたのはB。

「ヒーローかヴィランかは狭間少女決めていいよ!」
「じゃあ、ヒーローで」
「うん!じゃあ轟少年と障子少年は先にはいってセッティングを!」


さて、どうしようかな。
轟君は多分、さっきと同じようにいっきに凍らせてくるんだろうな。
私の結界なら閉じ込められる。でもあの氷で内側から圧迫されたらまだどれだけ出せるかわからないから破られてしまうかもしれない。


『それじゃあ開始!!』


オールマイトの合図がマイクから聞こえると、つぶっていた目を開ける。

「結」

指を建物に向け、いっきに結界をはる。

そのまま集中すれば、結界内の気配ぐらいならば感知できるのだ。

核の位置を把握すると、その辺りを目視して足元に結界をつくる。

足元に作ったままどんどん上に上っていくと、核がある部屋に到着。

「!来たぞ」

障子君の個性は探索に特化してるのかな。出来るだけ静かにやってきたはずなのにすぐにばれてしまった。

間髪入れずにやってくる氷。

自分の周りに結界をはりなんなく防御だ。


「結界……厄介な個性だな」
「君の氷ほどじゃないよ」
「だが守ってばかりじゃ勝てないぞ」
「知ってる。だからこそその為の対策もできている」

集中。集中。


「結!」

彼らの手足にそれぞれ小さい結界をはり、動きを止める。
すぐさま乗っていた結界をおもいっきり蹴って室内に飛び込んだ。

けれど轟君は地面から氷を這わせてきた。


「まじかよ」

結界で足覆ってんのに出来るのか。薄かったかな。


「けど、防御なら十八番だよ」

氷が広がる前に、それも含めた全部を結界に閉じ込める。今度は厚さも完璧。

「チッ」

轟君が舌打ちしたが、さっさと核を回収しようとしたそのとき、障子君の複製碗が確保テープを持って襲ってきた。

「俺を忘れるな」
「と、あぶな」

ギリギリ避けたが。
そうだった。障子君は腕が二本だけじゃなかった。


障子君はなんとか確保テープを巻き付けようと襲ってくるが、なんなく避ける。

「でも、関係ないよ」

避けた弾みでジャンプし、核の隣に着地する。

「はい。終了」

『ヒーローwin!!』

核に手を触れたと同時にオールマイトの声が響いた。




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