すれ違う世界の果実(1)

車窓から見える流れる景色には目もくれず、一人ふさぎ込んでいるまだ未成年の少女。彼女は耐えていた。
自分の右側にサム。左側にミカエラ。彼らとサムの両親で言葉が通じないながらも深夜から朝にかけてうとうとしつつお茶を楽しんでいたら、いきなりスーツ姿のおじさんたちが現れ、変な機械をかざされ、車に押し込められた。

彼女は耐えていた。
ここで彼女が冷静なら、次の展開介入の術を考えるのだろうが、そうではない。

彼女は耐えていた。吐き気を。

そしてたった一言。両脇の友人の服の裾を引っ張り、ここにきて始めて喋った。

「アイム リバース」

のち助手席に座っていたシモンズ調査員はこう語る。

「あれは、悪魔の所業だった」と…。

なんやかんやで最終的に車は止まり(屋根ないけど)無事に車から降りた3人だが…。
ミカエラが下着姿に剥いたおじさんたちに幸縁はゲロでデコレーションしていた。服に。

(ざまぁみろ…ゥェ)

その時である!!

『ヘリの音だ!』
『敵の増援だ、逃げるぞ!』

また車の中へ。そして、オプティマスの体から落ちてしまったサム、ミカエラ。二人を助けたバンブルビーがヘリのワイヤーで拘束されていく。

『!?!』

苦しげにもがくバンブルビー。
しかしオートボットは助けに行けず、隠れるしかない。
するといつの間にかギリギリしがみついていた幸縁の姿がない。

「バンブルビーを離せバカタレ共めがァアアアアアッ!!」

車酔いのまま青ざめた顔で、持っていたバットを振り回し、冷却材を吹きかけているセクター7の隊員を殴打。

「友達になにしやがんだドグサレ●●●(ピー)共!!」

吠える幸縁。
しかし一人でどうにかなるわけではなく、徐々に方位されバンブルビーにとうとう背中が着いてしまった。

「…嫌だ!嫌、嫌っ!」

助かると分かっていても胸が締めつけられる。
宝物のぬいぐるみを離したくないとだだをこねる幼子のようにバンブルビーに縋り、抱きしめる。
未来を知っていても何も出来ない自分。

「ビーちゃん、守れなくてごめんよ…」

無力感を噛み締めながら後ろから頭を殴られ、幸縁は意識を失った。
小説ページへ トップページへ