I feel a pain in my back.

ふわふわ。

埋没した感覚が最初に認識したのは浮遊感。
幸縁はこの心地よさに浸って、目を開けることも億劫で動きたくない。
意識は不鮮明。このまま永遠に眠りたいとも考えるが、そう思うと何かが引き止めるように意識が急浮上。
渋々のんびりと目を開ける。

何もなかった。

天国ではなさそう。
なんて思いながら、ここに来る前の出来事を振り返る。

「サムはオプティマスが助けたから大丈夫だ、ね。ジャズは真っ二つになってないし…あ!ラチェットにバンブルビー無事か聞きたかったなぁ〜、一応知ってるけど…。アイアンハイド怪我してないかな?……最後に見たサムとオプティマス。叫んでた…悪いことしたなぁ」

暗闇に幸縁の独り言が響く。

「つーかだいたい選べって何!二者択一?知るか!みんな仲良くしてたら両方に会えるのにそんな事言われても困るY!だったらケンカすんなやチクショウMEGA!平和万歳!!会ったことあるって言われても覚えてない!なにそれ悔しいうらやましい!」

むなしく響く声。
ひとりぼっち。

「あ〜ぁ〜」

こうも暗いと嫌なことを思い出しちゃうよ。
小さい頃もひとりぼっちで、よくイジメられ、暗闇で、人が来ないような場所で一人うずくまってたことを。

友達も少なかった。
慰めてくれる家族もいなかった。

まぁ、楽しかったこともあった。
救われたこともあっただろう。

それがなにかは思い出せないが。
そうじゃないと、今生きているのはおかしい。

(あれ?今生きてるのわたし?)

思い出せないと言えば……私は幼少時代の具体的な記憶が思い出せなくて、特に生活に支障なさそうだが、聴いた話ではクラスメートと担任、親が分からなくなってたことがあったらしい。
そのことすらまったく覚えていないが。

私達人間は成長するたびになにかを無くす。
無邪気さだとか、周りを気にしないで自分の世界に入り込めることとか。…きっとそれが将来的に社会で生活していく上で良いことでもあるし、悪いことなのだろう。

しかしなぜ私は彼等を忘れたのだろうか?
彼等は社会で生活するのに邪魔な障害になりえるから?
そんなことないだろう。
ならなぜ記憶に残っていない?
人の顔と名前を覚えるのは今も苦手だから対して気にしてないけれど。

忘れることなど、今の私は考えられないのだが。
……なら、幼い私は、忘れたしまったほうが良かった?そう望んだのか?

自分の都合で。切り捨てたのか、優しい彼等を。














自分の考えた予想にひどく苛ついた。

もしそのように当時自分が考えていたのなら、





私は私を赦さない。







この世界に来てから私は腹を立ててばかりだ。
なぁんて考えながら朧気な幼少期から今までを振り返る。



思い出した内容は良いものは少なく、ため息をつく。
(…自分の人生こんなもんか。)




死んだにしてもさすがに暇になってきたので移動してみようと幸縁は身体を動かそうとした瞬間




「っぃぁぁあ゛あ゛ああああ゛っ!?」






全身を砕かれるような痛み。






「あ゛ぁ!ぁ‥っ!!……!!!!」



激痛で声が出ない。
動くこともできず痛みに耐えることしかできない。

(そりゃあ、あんな高いところから落ちて地面に叩きつけられたらこんなになるよなぁ。潰れたトマトになってるだろうに何で痛みを感じてんの?)

などムリヤリ気を逸らそうとするが、効果無し。

だんだん増していく痛みに幸縁はもう耐えきれず意識を失った。














最後に感じたのは背中の痛みだった。
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