Sea side(1)




ある晴れた日。
幸縁は家で。




「あ゛ぁ〜〜…」




だれていた。



窓は全て開け放たれているが、今いる普段風通しの良いはずの寝室のカーテンはピクリともせず無風。

「容赦なさすぎ!」と叫んで日陰のフローリングに寝転がって涼を取ってると、ベッド脇のケータイが鳴りだした。






<ゴーゴーレスキューファイヤー!光の速さで〜








「……」


魚の干物のような目をし3秒間音の鳴る方を見つめた幸縁は。


シカトした。


寝返りを打った背中が語っている。ダリィと……

だが、一度鳴り止んだケータイが間髪入れず鳴りだす。それも何度も。
みんなに何かあったのではと不安になり、幸縁は起き上がりケータイに出た。

「は『シエンシエンシエンー!!』

ブチッ、ツーツー…

「うるせぇ」

つい指が光の速さで動いてしまったよ。つーか誰の声だった?

<ゴーゴーレスキューファイ>


「どちらさまですか」
『…幸縁、俺様だ。』
「俺様は現在間に合っておりますので失礼しま」
『メガトロンだ!』

えっ、メガトロンさん!?


「メガトロンさんもあんなハイテンションになるんですね知りませんでした」

ビビるわ〜と言う幸縁。

『違うっ!…オートボットの双子だ』

深いため息をつきながら返事するメガトロン。
その後ろが何故かうるさい。

「でしょうね。…でもメガトロンさんから電話なんて今までなかったから、そっちでも驚いてます」

とても嬉しいですけどねと、はにかむ。

『光栄に思え』

メガトロンらしい言葉に幸縁は電話越しに胸を張ってる光景を想像し、
<えへんっ!>
吹き出した。


「あははっ!…はぁ。あ!すみません!それでご用件は?」


すっかり忘れてた。

『…アイアンハイドとペアの軍人が、【今日はアナベルとサラと、海に行くんじゃぁぁぁぁい!!】と騒ぎ暴れ出し、便乗した隊員数十人とオートボットの双子、黄色い斥候に赤いヤツ。ディセプティコンは…スタースクリームと……ブラックアウトに何故かショックウェーブが荷担する始末。』

わぉ。

「…で?」
『あまりにも事態に収拾がつかんから勢いで…幸縁が来ないなら諦めろ!と言うと、【なら幸縁に電話して聞けおまいら!】ということに…』
「クソだりぃなオイ」


だるい。果てしなくだるい。


「……水着ない」
『俺様が買い物に付き合う』
「風呂」
『終わったら連絡しろ。迎えに行く』
「毛」
『…剃れ』
「……分かりました、行きます」



でも、彼等と同じ時を過ごしたいのも本当で。
結論が出ていることをいつまでも話してると楽しむ時間がなくなるので、電話を切ると急いで着替えを持って浴室に駆け込んだ。















全身磨き上げ風呂から出るとすぐさま連絡を入れる。ワンコール目ですぐ相手が出た。

「メガトロンさん、幸縁です」
『計算より早いな』
「急ぎましたから」
『だが髪は乾燥させていないようだな』
「え?」

プツンと通話が終了し、同時に肩に掛けてたタオルがなくなった。

『動くな』

言葉とは裏腹に頭に優しく触れるタオルと指。心地いい。
体を後ろの鍛えられた筋肉に寄りかからせる。


「早いですね、来るの」
『急かされてな』


仕事でもあれだけ機敏に動けばいいものをと、ぼやくメガトロン。ドンマイ!!
幸縁がうとうとしだした頃ドライヤーも終わり、メガトロンに髪をブラシで整えてもらった。


『起きろ』
「…ぉき、てます」

すごい眠いけど。

『来る途中で水着は買った』
「マトモな布面積ありますよね?スク水とかも無いですよね…?」

彼等に水着が選べるか不安な幸縁。(悪乗りして変なのしかなかったら部屋から出ない!)

『お前を痴女にする予定は無いな』
「そうですか。そんな未来が来ないことを切に願います」
『あぁ』


その後着替えて家の前に停めてあったブラックアウトが運転する車に乗り込み、海へ向かった。
























透き通った海。雲一つ無い青空。
そして


「……ぅぇ」


青ざめる幸縁の顔。
吐いてないが、ヤバい。

『ブラックアウトの運転でも駄目か』
「(;_;)」
『車に乗ると何一つ無事で済まないな幸縁は』
苦笑しながらペットボトルのお茶をくれるブラックアウトさん。
「すいません…」
『落ち着いたら着替えに行け』
「はいメガトロンさん」


二人は着替えるため先に歩いていった。
駐車場のベンチで一人お茶を飲む幸縁。背もたれに体を預け深呼吸する。

「…まだ吐き気がする」

しばらくうつむいてグタッとしていると、いきなり肩を叩かれた。
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