
白路を行く(1)
"−では天気予報です。今日、クリスマスは例年よ"
ブチン
「どいつもこいつもクリスマスクリスマス…」
やさぐれた声を出し、幸縁はテレビの電源を切った。
今日バイトは休み。
クリスマスということでシフトを変わってほしいと同じバイトの同僚に言われたが、「おおっといきなり頭痛が痛いぞこれ以上痛々しくなる前に時間なんで失礼します帰りますねクリスマスはお店でゆっくりしていってね!」と日本語で誤魔化して帰宅したのだった。
ちなみにシフトを変わってほしいと言われたのはその時で21回目。店内の同僚全員に何度も言われればキレるわ。
「やることがない…DVDでも見ようか」
重たい体を起こす。
コーラとお菓子詰め合わせ、お気に入りのブランケットを用意すればもうそこは映画館。
「これで恋人がいれば完璧なんだけどなぁ…」
「オレナンテドウダ?」
「ギャアアアアアッ!?」
「ウオッ!オチツケシエン!」
「は、背後からはダメだよ…殺す気か?!まったく」
「スルワケネエだろっと…」
そう言うとヒューマンモードにトランスフォームしたフレンジー。
しれっと不法侵入です。
「あ〜、コーラこぼしちゃった…」
「シエン。はい、ティッシュ」
「ありが…………スコルポノックさん。何故に此処に?」
「「暇で」」
「左様ですか」
床に零れたコーラを拭くと、幸縁はすぐさま彼等を持て成しにかかるのだった。
「今日は非番なの?」
「あぁ。んであの軍人が"家にかーえーるぅ〜!!"ってダダこねてたから、協力してやってついでに便乗して出てきた」
「…オオゥ、レノックスサァン…」
録音音声がマジでダダっ子の言い方。
「シエン一緒!マスターも!」
「ブラックアウトも?」
「アイツは今俺等を追って来てるみてえだな…まぁ無断だし。バリケードは警察の応援で基地に居ねぇ。絡んでくる酔っぱらい共を潰したいってぼやいてた」
「お、お疲れ様ですって伝えといてくれるかな?」
「オウよ」
なんとなくで幸縁が用意していたクリスマス料理を食べながらする会話ではないが、これが彼女達の普通だ。
フレンジーとスコルポノックが二本目のチキンの骨を皿に置いた所で玄関のチャイムが鳴る。