What is bred in the bone will not out of the flesh. 4
覇王の道を歩こう。
それしか、できないんだから。
* * *
それから2日の休養を経て、ようやく体温は平熱に戻り、僕は司令室の、…ボスの前にいた。
「スルーム王国の件、ジェールシー公国、アラウディース、……あぁ、ヴァヤーナ島やシャボンディ諸島にも行っていたか……。武器商人の拠点や、マフィアの拠点、賞金稼ぎの拠点のところもあったな……われわれの障害になりそうなところだ……」
部屋に入るなり、ボスは僕にそう言った。
「報告を、ルイ。……それぞれの国で、何を見て、何をしてきたのか」
口を開いて。一度閉じた。
言われた問いに、答えろ。
「……スルーム王国は、かつて拿捕に失敗した武器商人の幹部が拠点にしてました。海楼石の密売の現場を押さえ、現物は革命軍に流れるように手配していたはずです。ジェールシー公国は、――…………」
一連の報告を終えると、ボスは、下がっていいと言った。
「……あの」
僕は、ボスの元から無断に去った。なんの、お咎めもないというのか。
居住まいの悪そうな僕を見て、ボスは言った。
「ルイ、君の行動は、すべて私が命じたこととなっている。半年間……あらゆる国をめぐり、些細な障害を除くようにと、命じたことにした」
「……はい」
「君は、われわれ革命軍の同志ではなく、私の私兵だ……。ルイ。君がいなくても組織は回るが……、いてくれたら助かることも多い」
「……はい」
僕は、きゅと唇を結んだ。
「立場を明確にした今、君は今までより自由に行動できる。……それとも、革命軍の旗を、負うか?」
「……いいえ。僕は、あなた以外の、下につく気はないので」
「そうか」
ボスに革命軍に誘われたのは、初めてだけれど。
僕は首を横に振って、ボスはそれ以上何も言わなかった。
「サボにはあったか?」
「…いえ、まだ」
「心配していた……、サボにも会っておきなさい」
めちゃくちゃ怒っているとは聞いている。正直いまは会いたくない。
けど、ボスの命令なら仕方がない。
「はい。……ごめんなさい、ボス」
「いなくなるなら、一言残して行ってくれ」
「……コアラにもそれ、いわれました」
そうか、とボスは言って、僕は司令室を後にした。
* * *
訓練室にサボがいると聞いたので、覗いてみると秒で見つかった。なんなら向かっていることを誰かから聞いていたらしい。
「ルイ、構えろ」
訓練室の中央で、サボが立っている。
ものすごく不機嫌そうな顔で……、すごく怒っていることが、よくわかる。
「ルイ」
なかなか動かない僕に、サボが催促する。
すぅと、息を吸い込んで、僕は思考を切り替えた。
―――
――
かれこれ20戦はしただろうか。いや正直10戦越えたあたりから数えるのをやめたから、どれぐらい吹っ飛ばされたのかわからないけど、
わかるのは、僕は一度もサボに勝てずに、地面にそれだけの回数、たたきつけられたということだ。
「……なんで、いなくなったりしたんだ」
いい加減飽きたのか、満足したのかは知らないけど、少なくともこれ以上僕は地面と友達にならなくていいらしい。
「……単なる自己嫌悪だよ」
僕はそれだけ言うと、よいしょと起き上がった。
「……いなくなるなら、一言声かけてから行ってくれ」
何か言いたそうにして、結局サボは、それだけを言った。
サボまでそんなことを僕に言った。
「みんなそういいやがって……なんだよ、言ったら引き止めるくせに」
「なんだ、ばれてるのか」
ははっとサボが笑うので、僕も笑おうとして――失敗した。口元をゆがめて、僕はようやく、生まれてから20数年、今まで笑うことをしなかったことに気がついた。
「へたくそ」
そんな僕を見て、サボはさらに笑った。
「うるさいよ」
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