「今みんなバラけて行動しているんだって。集合場所聞いたからそれまで一緒に買い物しよ」
「俺そんな金持ってきてねえぞ」
「おじさんからお金預かってるから大丈夫だよ〜」
「いつの間に」

 ショッピングモールの中の地図を見つけて個性を使って記憶する。カメラという個性は日常生活で地味に使えたりするのだ。撮るときはフレームという制限があるのはネックなんだけど、親からの情報によると鍛えればフレームなしでも写真を撮れるようになるらしい。脳内での画像の保管や整理はスマホのそれと一緒。容量は自分の頭の良さ次第だから勉強を頑張れば頑張るほど保存可能枚数が増える。あと、テストでの悪用も、その気になれば可能。

「それ、便利だよな」
「えへへ、ありがと〜スマホがあれば代用出来るんだけどね」

 しょーちゃんは着替えや水着が足りないらしいのでまずはそちらへ。ファッションのフロア。メンズの服はあんまり詳しくないけど、しょーちゃんほっておくと「視界に入った」とかいう理由で適当なの買うからなあ。顔とスタイルのよさでなんとか持ってるけどせっかく素材がいいんだからまともな格好して欲しい。「こっちだよ〜」としょーちゃんを案内していく。

「来夏」
「わ、」
「ぶつかるぞ」
「ありがとう……」

 腕を引っ張って抱き寄せられるような体勢。そろそろ慣れてもいいはずなのにしょーちゃんと密着するのはまだ恥ずかしかったりする。

「歩きスマホしてるようなもんだもんね」
「不便だな」
「突然の手のひら返し!!」
「俺がいるときはこうしてれば問題ないだろ」
「えっ」
「進め」

 肩を抱き寄せられた状態だった。確かにこれなら人にぶつかることはないけれど、少し歩きにくい。やだやだと身をよじってもしょーちゃんの腕力に叶うはずもなく、結局なすがままにされたのだった。



「あっ」
「どうした?」

 買い物が終わったあと、集合場所に向かおうとしたら雑貨屋が視界に入った。店先に並ぶアクセサリーが気になる。そろそろ夏だし新しいの買ってもいいかも。

「えっと、あのお店見たくて」
「付き合う」
「いいの?」
「さっき散々俺の買い物に付き合ってもらっただろ」
「ありがとう〜!」

 髪もだいぶ伸びてきたし、体育のとき以外もアップにすること多くなったからなあ。あんまり派手じゃなくて学校につけていけるデザインがいい。真剣に選んでいると、とんとん、と肩を叩かれる。

「しょーちゃんなぁに?」
「やっぱり」
「んん?」
「この色来夏に似合う」

 私からは見えないけど、どうやら髪留めを私にあてて品定めをしているらしい。ど天然なくせに一体どこでこんな殺し文句を覚えてくるのやら。そんなことされて私がほかのを選ぶなんてことが出来る訳もなく。「気に入ったか?」の問いかけに頷けばしょーちゃんに買ってプレゼントされてしまったのだった。

「ありがと、しょーちゃん」
「それ付けとけば俺のってわかるだろ」
「ええっ」

 渡された髪留めを思い出してみれば、しょーちゃんの瞳の色に近い青色だった。ねえ、これって独占欲? 思い上がってもいいの?

「上鳴とか、まだ来夏に絡んでくるし」

 思い上がってもいいようだった。それに、どうやらまだ私の知らないしょーちゃんがいるみたい。上鳴くんと連絡する頻度を落とそうと心の中で決意した。


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