あつい、あつい、いたい、あかい。視界が赤く染まる、身体に激痛が走る。こんなはずじゃ、ここで終わるはずじゃ、なかったのに。
死にたくない、終わりたくない、誰でも良い、誰か。
必死に腕を伸ばすも、その手は誰かに届くことはなくただ空を切るばかりで、目の前もどんどんと霞んでいく。
(ああ、ここで、終わるのか…)
そう思った瞬間、ぱっ、と視界が明るくなった。目の前には、彩やかな橙色。
顔なんてもうほとんど認識できないはずなのに、なぜかはっきりと、自分の目はその橙色の持ち主の姿を捉えていた。
「………っ、」
これしかない、と瞬間的に思った。もう彼女に頼るしかない、と。
「俺の代わりに、“藤丸立香”になってほしい」
絞り出した声は、ちゃんと届いていただろうか。目を瞬かせて驚いた様子の彼女を見て、ああ、自分の声はちゃんと届いていたんだ、と安堵する。
彼女が何か伝えようと口を開いたのが見えた途端、視界は急速に黒に浸食されていった。言葉を受け取ることは、かなわない。
―――どうか。そう願うことしかできない無力な俺を、きみはゆるさないでいて。