ジェイ


「ねぇ、ねぇねぇ、ジェイくん」

その声に顔を上げるとそこにいた名前は、いつになく神妙な顔をしていた。そのまま放っておくと泣き出しそうなほど暗く沈んだ表情は、彼女にはとても似合わず僕は密かに慌ててしまった。が、それは一瞬のことだった。

「どうしたんですか」

むかし、というよりもたまに、だけど、名前はこうやってわざとらしいほどに暗い顔をする。この間は泣きそうな顔をして相談されたことが「シャンプーの入れ換え方がわからない」だった。すごくしょうもないことで悩む癖が彼女にはある。だから今回もそんなチンケなことで悩んでいるんだろうなと作業半分彼女の方は向かず読んでいた本に目を戻すと、いきなり胸ぐらを掴まれて強引に立たされた。こういうときだけやけに力持ちなんだよなぁ。

「どうしたじゃないよ、ジェイ!」
「なっ、なにするんですか突然!」
「あのね!わたし、太ったかもしれない!」
「……はぁ」
「でもでもね!確認する方法がないの。この家に体重計なんてないでしょ?」




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