サソリ



「…おい」

「はい!なんでしょうか?」

「…おい」

「はーい、どうしました?」

「どうしました、じゃねぇ。離せ」
任務の帰り。
ただサソリさん(本体)にしがみついているだけなのに、怒鳴られてしまった。

「いいじゃないですかー。今日の任務は私なしじゃ成功できなかったんですよ?だから、」

そこまで言って腕の力を少し強めた。


「お願いですっ、おんぶしてください!」

「断る」

「そこをなんとか!実はさっきので足挫いちゃって歩くのも辛い…んですよ」

「嘘つけ。てめぇは足挫いただけで歩けなくなるような奴じゃねぇだろ」

ばれてしまった。
それでも足が痛いのは本当で。
どんどん進んでいってしまうサソリさんを追いかけながら、必死で頭を働かせた。

「サソリさぁーん。明日からお風呂の順番譲りますからー」

「要らねぇ」

「これからは部屋に勝手に入りませんからー」

「んなもん当たり前だ」

「いっぱい言うことききますからー」

「…本当か」

「っえ、はい、ホントですよ!絶対!」

意外だった。そして迂闊だった。この人に何でもいうこときくなんて言うとはアホにも程がある。自殺行為だ。

「そーだなァ…」


足を止め物凄く楽しそうな笑みを浮かべてサソリさんは、その"いうこと"を考えているみたい。寒気がする。



「一個だけでいい。」

「…え?」



「俺の、女になれ」





見たこともない表情のサソリさんが、そこにいた。









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