磯崎
あーだりぃ。
珍しくサッカーだった体育の時間にはしゃぎすぎた俺らサッカー部は、体操服を脱ぐことすらめんどくさいようで机の上に寝っ転がってうだうだしている。まあ俺もそのうちの一人なんだが。外から女子の早く着替えろの声がうっせぇ。あー仕方ねぇなあ着替えてやるとするか。
「けーんま!」
信じられん。他の奴らは気を使って声をかけるだけだというのにあいつは。何の遠慮もせずにどかどかと入ってきやがった。正確に言えば一歩踏み出す前に篠山の野郎が追い出して鍵閉めたけどな。グッジョブ。
「おい、磯崎。苗字が呼んでる」
追い出したはずのあいつの声をどこから聞き取ったのか、篠山が俺のことを呼ぶ。まあ丁度着替えも終わったし出てやるとするかと中が見えないように気を遣いながらドアを開けると、
「お!おそい研磨!はやくはやく」
ドアの前で待ち構えていたらしい名前に腕を引っ張られ、そいつは何処かへずんずん歩いていく。
「お、おい。どこ行くんだ次昼飯だ----」
「そう、昼ご飯だよ!この間言ってたお弁当!」
弁当……?いつ誰がそんな事言ったと脳内の記憶フォルダをかき回してみると。見つけたいや見つけたくなかった、思い出したくもない恥ずかしい記憶が一瞬でフラッシュバックした。
"ま……お、お前がどうしても作りたいってんならもらってあげねぇこともない、けどな"
いつかのこいつにクッキーをもらっていろいろあった後の話しだ。こいつこんな見た目のくせして妙に料理だけはうめえんだよな。
「研磨の好きなナントカ弁当だよ!」
こっぱずかしい発言のおかげでこいつの弁当が食えるならーまあいいとするか。
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