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 突然だがたった今私の身に起こったことを嘘偽りなく話そう。掃除をしていたのだ、兄と共に生まれてからずっと共に住んでいた勝手知ったる我が家。勿論私よりも忙しい兄の部屋もいつも通りに掃除をしたのだ。
 それなのにいつも通りにしていたはずの掃除を中断せざるを得なかったのは一重に私が見つけてしまったものに起因する。見事に驚愕して兄が帰ってくるまでの何時間もの間、私は兄の部屋でそれを手にしたまま何かの術にかけられたかのようにそれを凝視していた。
 兄が、近親相姦もののエロ本隠し持っていた……。

「兄がぁ、兄が怖いぃ!」
「誤解だから!誤解だから!」
「兄に犯されるぅ!」
「やめて!ご、誤解なんだよ!」
「そうなの……?」
「うん」
「じゃああの本、兄ちゃんのじゃないの?」
「いや、それはまぁ、俺のなんだけど……」
「犯されるぅ! 兄に犯されるぅ!」
「待って違うんだ!」
「あの、兄ちゃんもやりたい盛りだろうし、そういう事に興味を持つ事自体は私全然否定しないけどね……」
「……うん(やりたい盛りって)」
「そういう本を読んだりしてみたくなる事も、全然悪い事だとは思わないし……というか普段も常時持ち歩いてるの知ってるし」
「……あの、なまえ」
「な、何!?」
「な、なんで距離とってるの?」
「怖いもん!犯されるもん!」
「やめて!」
「超マニアックな方法で犯されるもん!」
「しないよそんなの!」
「急に『俺のことは名前で呼んで?』とか『また一緒にお風呂に入ろう?』とか言いはじめるんだ!!」
「抜粋するのやめて!さっきの本から抜粋するのやめて!というか結構ガッツリ読んだのね!?」
「なんか近親相姦特有のマニアックな言葉責めとかするつもりでしょ!」
「しないよ!やめて!」
「『元々は同じもの(精子)でもあったんだから、お前の中に返すよ!』とか言いながら犯すつもりでしょ!?」
「抜粋やめて!音読やめて!」
「兄がマニアックな言葉責めを身につけてるぅぅ……!」
「だから離れていかないで!そんなに壁に引っ付かないで!」
「とにかく、そういうマニアックなプレイしようとしてるんでしょ……?」
「違うから!そういうんじゃないから!」
「さ、さらにマニアックな……?」
「違うよ!ていうかさっきなまえが言ったみたいのは近親相姦ものでは全然マニアックの範疇じゃないよ!」
「……え?」
「……あ」
「……あ、あれくらいは、基本なの?」
「なんでもない!さっきのなんでもない!」
「正直さっきのでもかなりエグいところ抜粋したつもりだったんだけど……」
「聞いて!さっきのは間違いだから!」
「もうあれくらいじゃ、満足できないってこと……?」
「やめて!」
「兄ちゃんがどんどん遠くに行く……」
「遠くに行ってるのはなまえだよ……物理的に遠いよ寂しい……」
「だ、だって犯されるじゃない……」
「しないよ!」
「接し方が悪かったのかな……知らず知らずの内に、兄ちゃんに寂しい思いをさせていたのかな……」
「やめて!重い感じにしないで!」
「父さんが兄さんは私と違ってちゃんと母乳で育ったっていってたのに……」
「聞きたくないよ!いい大人になって家族の口から一番聞きたくないタイプの奴だよそれ!」
「で、でもプレイ的な見地から言えば母乳も興奮ポイントに……?わ、私出ないけど」
「やめて!嗜好を探るのやめて!出ないけどとか生々しいから!!」
「だ、だってさっき言ったくらいはもう基本なんでしょ?」
「間違いでした!さっきの無しで!」
「とすると母乳とかそっち系に行かざるを得ないじゃない……?」
「っていうか何でちょっと協力的なの!?さっきまで犯される!とか言ってたでしょ!?」
「さ、逆らったらもっとひどい目にあう……」
「そ、そういうことか!いや、しないから!」
「じゃ、じゃあ面と向かって言って……」
「何を?」
「『私、はたけカカシは自分の妹を犯したいと思っていないし、思ったこともありません』って」
「何その宣言!?」
「言わなきゃ信用できない!獣と共に同じ家にはいられない!一人暮らしする!!」
「ケモノとか言わないで!一番大きい鞄を持ち出さないでよ!!」
「と、とにかく言ってもらえれば、安心できるかもしれないから……」
「……うーん……」
「や、やっぱり虚偽の申告はできないの?」
「虚偽じゃないから!」
「いいの!私兄ちゃんを嘘つきにしたいわけじゃないんだから!」
「その感じやめて!」
「兄ちゃんにその場限りの嘘をつかせるくらいなら、私頑張ってその嗜好と向き合うから!」
「言うから!言うから重い感じやめて!」
「忍は信用が大事なんだもの、こんなことで兄ちゃんの信用がなくなったら……」
「お願いだからなぜか分からないけど泣きたくなってくるからやめて!」
「じ、じゃあ言ってよ…」
「え、な、なんだっけ……『俺は』……」
「『私、はたけカカシは自分の妹を犯したいと思っていないし』
「わ、わかったよ……『私、はたけカカシは自分の妹を』……」
「……ど、どうしたの?なんでやめるのなんで深刻な顔してるの……?」
「あ、あのー、一応、一応確認ね?」
「な、何?!」
「怒んないで!こ、この『犯す』の範囲って……?」
「!!」
「い、一応だよ?」
「そ、それはつまり範囲によっては……」
「一応だって!意外と二人の間で食い違ってるかもしれないでしょ!ね?」
「範囲によってはありえるってこと?」
「いやだからその確認!」
「そ、そうだね……兄ちゃんの基準はちょっとアレだもんね」
「アレとかやめて」
「いやだって……」
「えーと、じゃあちょっとずつ確認してこう?」
「う、うん。ここでの『犯す』の範囲が広ければ広いほど、その……」
「……うん」
「兄ちゃんがさっきの宣誓をできなくなる可能性が上がるわけね」
「いやまぁ……多分ていうか絶対大丈夫だけどね!!そんな不安そうな顔しないで!」
「ふ、不安そうな顔だと興奮するから!?」
「違うから落ち着けって!!」
「わ、わかった……」
「えー、じゃあ『犯す』の基準決めスタート!」
「まずは『キス』!」
「えッ!?」
「えッ!?」


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投稿日:2017/0909
  更新日:2017/0909