この寂しさはアナタの印で埋めて
「……」
ステラは一人でとぼとぼと通路を歩いていた。
いつもよりも静かな空間。さっきまであんなに騒がしかったのに。
「みんな何かをあげて、もらうために、外に行ったの?」
がらんとした通路から返答が返ってくるはずもなく、その場に止まり俯いた。
「私は……何も持っていない」
両の手のひらを何となく見つめてしまった。余計寂しくなるだけなのに。
「ステラっ!」
「なっ、何、アウル」
後ろから肩を掴まれ驚くが平静を装う。
「どこ行ってたんだよ、探させんなよ」
「通路を……歩いてた」
本当にそれしかしていないため口にしていないため口にして何だか寂しくなる。人気が無くなっていく艦内をただ歩いていただけ。
「本当お前って変」
「……はなして」
今は誰とも話したくはなくて、肩に触れている手を振り払おうとした。
「何そんなに怖がってんだよ」
「何も……」
「じゃあなんで体震わせてんの?」
小刻みに震えるステラの体からアウルは手を離そうとはしない。
「寒い……から」
顔を逸らしそう告げるステラをしばらくじっと見つめていた。
「アウル……離し、いた」
「寒いならヤる?それとも誘ってるわけ?」
「ちが……」
壁に体を押しつけられ抵抗するがアウルの力にはかなわない。
「やっ」
軍服の上ボタンをいくつか外され下着が露わにされた。
「やだ……アウ、ル」
「本当に嫌なら突き放せよ」
「なに……ん……」
首筋に唇が触れたかと思うと痛みに近い何かの感覚がした。
「行くぞ」
「どこに……?」
アウルはステラの軍服のボタンを留めるとステラの左手を右手で握り歩きだした。
「ここ……」
「入れよ」
連れてこられたのはアウルとスティングの部屋。入った事は一度だってない。
「……でも」
「いいから入れって」
アウルはドアのスイッチを押すと同時にステラの背中を押した。
「これ……」
入るとすぐにテーブルがあり。ケーキやチキン、サラダなどがあった。
フォークやスプーン、皿は三人分ある。
「クリスマスだから……お前こういうの好きそうだし」
「スティングは……?」
部屋には誰にもおらず何となく聞いてみたのだがアウルは面白くなさそうな表情をして顔を背ける。
「シャンパン買いに行った」
「怒って、るの?」
ステラの言葉に返答はない。
「ステラっ!?」
「さっき……こうされて嬉しかったから」
先ほどアウルがステラにしたように、ステラはアウルの首筋に唇を押しつけた。
ステラの言葉に目を見開くがすぐに笑みに変わり悪戯じみた物になった。
「じゃあステラからのクリスマスプレゼントって事でココに今したみたいにしてよ」
「クリスマス……プレゼント?」
左胸を指しながら言うアウルに不思議そうに問いかける。
「そう、そうしたら僕からもクリスマスプレゼントやるよ」
「アウルが……私に、プレゼントくれるの?」
笑みを浮かべたままのアウルの左胸にステラは唇を近づけそっと触れた。
「こう……?」
「印ついてないから駄目」
印という言葉がよくわからず何がいけなかったのか考えるステラ。
そんなステラの髪をアウルは撫でた。
「後で教えてやるよ。体に」
そう言うと唇に軽く触れるだけのキスをした。
−賑わう空間の中
私は寂しい
寒くないのに震える
私は何も持っていない
だから賑わう空間に
入れない
ずっと一人
一人でずっと歩いてる
それでも
アナタはプレゼントをくれた
私からもプレゼントを贈れると教えてくれた
首筋の印は熱くて
熱くてたまらない
アナタしか考えられないぐらいに
この寂しさはアナタの印で埋めて−
H16.12.25
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