キミ自身も星だった
「ステラ、今日何の日だか知ってる?……何だよ」
アウルの問いかけには答えず両手を差し出すステラ。妙に顔がうれしそうだ。
「お餅とか……ひなあられとか」
「僕がステラにあげろってーの?」
首を縦に振るステラの額をでこぴんで攻撃する。予想していなかったのか後ろに少しよろけてしまう。
「いたい……」
「何かほしかったら答えろよ」
「今日は桃の節句?」
額を押さえながら答えるステラを笑いながら見つめるアウル。
そして両手の人差し指を交差させステラにバツを突きつけた。
「耳の日でした〜」
「いじわる」
涙目でそう訴えられるとさすがに胸が痛む。本気で悔しがっているような顔。そんなに食べ物がほしかったのだろうか。
「しょうがないな」
言いながらズボンのポケットの中から袋を出した。
「きれい……」
ステラの視線はそれに釘付けとなる。
透明な袋に入ったこんぺいとう。いろんな色があり綺麗だった。
「食べてみなよ」
「うんっ」
両手を差し出すとアウルは2、3粒出してくれた。それを1粒つまみじっと見つめる。
不思議そうな顔をしながらその1粒を口に放り込んだ。
「うまい?わっ……って、えぇ!?」
アウルからこんぺいとうの袋を奪い取り口の中に流し込む。
あまりにも突然で俊敏な行動にアウルは驚きの声だけあげ見ていた。
袋の中にあった約半分のこんぺいとうを口に含み幸せそうな顔をしているステラ。
「ふっ……あはは」
「ふふ?(なに?)」
突然笑いだしたアウルを見つめるステラ。アウルは腹をかかえ笑ったまま答えない。
答えないというよりは答えられないぐらい笑っていた。
「ほんっとに女の子らしいんだか、らしくないんだか」
笑って乱れた息を整えながらアウルはステラの頬を指先でつついた。
「……?」
いびつな形をしたこんぺんとうを大量に含んだ口は頬をでこぼこさせていた。
その顔で不思議そうに見つめられると何だか間抜けに見える。
でもそれだけにこんなに笑ったわけではなかった。
「何かさ、いびつなのに綺麗って感じるの何となくだけどわからないでもないかな」
「うん……コレ、きれい」
口に含んだこんぺんとうを平らげ口を開いたステラは、こんぺんとうの袋を顔にかざしながら言った。
「アウルも食べる?」
自分を見ているアウルの視線に気づき聞くステラ。
「元は僕のなんだけどね」
「あ、ごめん……。アウル?」
謝りながらこんぺんとうの袋を返すステラの手をアウルは押し返した。
その行動にステラは首を傾げる。
「ステラが食べさせてくれるんなら食べる」
「うん……」
少し照れたような顔にステラは笑みを浮かべ、こんぺんとうを1粒アウルの口に放り込んだ。
−綺麗なモノは“キレイ”なんだろ
いびつなのに“キレイ”なんておかしいじゃん
でもきっと違うんだ
気持ちが揺れるから“キレイ”って感じるのかもね
これから知ればいいんだ
不思議なキミが見つけて気づかぬ内に見せてくれるかも
なんて
いびつな星を
嬉しそうに眺めるキミは
キレイで
キミ自身も星だった−
H17.3.4
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