汝、その手を待つなかれ


 


「ル〜ナマ……何やってんの?」
「スカート押さえてんのよ」

通路でルナマリアの姿を見つけ近付くと、ルナマリアは両手でスカートを押さえていた。

「何で?」
「身に覚えがないならショック療法で思い出させてさしあげましょうか?」

右手に拳を作り笑顔で言われる。その笑顔は可愛いけど異様なオーラをかもしだしていた。

「とか何とか言いながら本当はやってほしいんだろ〜」
「言ってなさい、変態!」

あからさまに怒りを見せながらルナマリアは俺に背を向けた。

「敵に背中は見せちゃ駄目だろ」
「わっ!」
「色気ない声!?」

背を向けたルナマリアのスカートの裾を軽く摘む。
色気がないと言うとスカートの裾が手から離れ、頭部にチョップをくらった。

「うるさいわね。色気なんかなくていいのよ」
「何で?あった方が良くない?女としてはさ」
「シンを喜ばすだけだからなくていいの」

小悪魔的な笑顔を向けられ、ルナマリアの人差し指が俺の胸にあてられた。

「誰にでもこんな事するわけじゃないよ」
「知ってるわよ」

てっきり誰彼構わずやってるのかと思われているのかと思った。

「だから言ってるの」
「言ってる意味がよくわかんない」

ルナマリアの言葉の意味がよくわからず首を傾げる。
その様が笑えたのかルナマリアは吹き出して笑った。

「私だって待ってるだけじゃないわよ」
「は?ん……」

柔らかな笑みを見せたと思ったら視界が暗くなった。
唇に柔らかくよく知っている感触が触れる。

「待ってるだけは嫌だから」
「えっ、だから意味がよく……ルナマリア!」

よくわからないままの俺を置いてルナマリアは通路を走って行ってしまった。

「ルナマリアに……ヤられる?」
「馬鹿!!」

小声で言ったはずなのに通路の先からそんな声が聞こえ、俺は笑った。

「さて、追いかけますか」

そして俺はルナマリアの後を追った。


恥ずかしいからと
触れる肌は
生暖かくて
あぁ君なんだと
実感する
まだ触れぬ
いつかソコに触れる時
まだ知らない思いが
駆け巡るのだろう
お互い待つだけは
嫌だから
でも恥ずかしいから
まだ
うん、まだなんだね
触れる手よ
相手の手が見えるか?
汝、その手を待つなかれ
汝、この手を届けたまえ



H17.7.24



book / home