愛するキミに言霊を


 


「ロングスカートが多いですよね」
「そうですか?」

買い物の帰り、歩いているとアスランが突然そんな事を言い出した。
ラクスが何か思い出したかのようにポンと両手をあわせた。

「でも和服の時はロングではありませんでしたわ」
「確かに……」

かなりミニ。座るとかなり際どくなるべくなら座ってほしくない。むしろ自分の前以外では着てほしくはない。
が、何だかそれでは納得がいかないようだった。

「買いましょう」
「服を、ですか?」

そしてアスランの提案で服屋へ行く事となった。

「清楚なミニスカートってないもんだな」

女性物の服屋に入ったはいいがなかなかぴったりくるものがない。
服ばかりに気を取られ女性客の視線に気がついたのはかなり経ってからだった。
試着室に入ったラクスが気になり試着室へと向かった。

「アスラン、いかがでしょうか?」
「よく似合ってますよ」

アスランの返答に少し納得がいかないような表情を見せるがラクスはまた着替えに試着室へと入った。

「パンツか」

体のラインがはっきりとわかるパンツを着たラクス。確かにロングスカートではない。
なかなか見ない姿に新鮮さを覚え、ヒップのラインや足にもどきどき感があるがぴったりはこない気がした。

「俺ってこんなに服にうるさかったか……?」

そんな疑問を浮かべていると試着室のドアが開いた。

「いかがでしょうか?」
「っ!?」

出てきたラクスの衣装があまりにも予想外かつハマっていて、アスランは膝を落とし顔を俯かせた。

「アスランも気に入ったようですしこれに」
「わぁー!?ま、待って下さい」

会計をすます気満々のラクスの腕を掴み引き留めた。
ラクスは首を傾げ不思議そうにアスランを見つめる。
頭にヘッドドレスをつけ、黒のシックかつふりふりな服装。それはあまりにもラクスに似合っていた。
アスランは心で謎な葛藤を繰り広げ言った。

「出ましょう」

結局何も買わずに帰る事にした。
自分で提案しておきながら買わずに出てしまい気まずく思い一言も口を開いていない。

「アスラン」
「はい……?」

不意に呼ばれ返事をすると、ラクスは一歩前に出てアスランの前に佇んだ。

「アスランはどんな服装が私に似合うと思いますか?」

突然の質問に答えられずはずもなくラクスを見つめているだけ。
ラクスはそれがわかっていたかのようにふっと笑みを浮かべた。

「アスランに可愛いや綺麗と言われるととても嬉しいですわ」

気恥ずかしくてなかなか言えない言葉。本当は言いたいのにいつも恥ずかしさが前に出てしまう。

「アスランに言われると本当にそうなっていくようで……不思議ですわね」
「ラクスはっ……」

言いたいのに言えない。どうしてかわからない。でも言葉は口から出なかった。

「ゆっくり決めていいのです」

ラクスのその言葉が聞こえた瞬間向かい風が吹いた。心地よくてその心地よさはラクスの言葉と似ているように感じた。

「すみません……」
「何故謝……アスラン?」

問いかける前に近づいてきたアスランに抱きしめられた。
ラクスだからこんな風になるんだ
そう思うと苦笑混じりでも何故だか嬉しく感じ笑みを浮かべた。

「ラクス」
「はい」

ラクスと向き合い笑みを見せるとラクスも笑みを浮かべた。

「服をプレゼントしたいんですが……着てくれますか?」
「もちろんですわ」


−ワガママで自分でも抑えがきかない気持ち
それが何だかわからなくて苛立ちもする
でもわかってしまえば簡単で
それは君だからこんな気持ちになる
言葉にはできないのに
現れるモノ
それは君をキミにしていくんだろうか
綺麗なキミに
可愛いキミに
魔法をかけるような
それは解けない魔法
進化するモノ
愛するキミに言霊を−



H17.3.11




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