眠る君よ どうか目を覚まさないで
夢を見た
透明なヴェールを被り白い服を纏い瞳を伏せている君。
そのヴェールに手をかけると僅かに君が微笑んだ気がした。
夢だったんだ。
いつか来ると思っていた夢。
決して掴めはしないけど確実にそれは在ったんだ。
「ホワイトシンフォニー?」
「はい」
たくさんの花を前に微笑む君。
君が最初に歌った劇場、ホワイトシンフォニー。
「やはり緊張しましたか?」
「緊張、というか嬉しい気持ちと共に怖いという気持ちがありましたわ」
「怖い?」
そう聞き返しても君は笑みを浮かべるだけ。
その時、何かが芽生えた気がした。
守るから、と。
「アスラン」
そこに彼女がいても驚きはしなかった。
確実にいるとわかっていた。
どうして分かれてしまったんだろうと後悔に似た気持ちがあった。
「アスランと私の子供はきっと紫の髪ですわね」
「またその話ですか……」
よく彼女が言う紫の髪の子の話。
最初は冗談かと思ったが本気のようだ。
遠からず近い未来に見れるその子を思い浮かべると自然と笑みが浮かんだ。
「アスランが笑ってるとぽかぽかしますわ」
「そうですか……?」
君はスカートを翻しながらハロと戯れるように回る。
「ひだまりですわ」
「アスラン」
もう会える事はないかもしれない。
そう思っていた彼女が自分を助けた。危険なのはわかっているはずなのに、こんな自分を。
彼女に守られた自分が不甲斐なかった。
もう遠く離れた君が見えない気がした。
今もまだ夢に見る。
消えない。
見続ける。
現実になりはしない夢。
白い君が見えない。
「アスラン」
夕暮れに照らされる君は俺に言葉をかける。
俺は笑う事しかできなかった。
言葉を交わせば
俺の中の君が
目覚めてしまう
気がして
今はまだ
目覚めないで
この夢を終わらせないで
“過去”の君を
まだ“現在”の君でいさせて
だから
眠る君よ
どうか
目を覚まさないで
H17.7.22
book /
home