不器用なお姫様
「シン、お前今日が誕生日なんだってな」
「はあ、それが何か?」
自室でパソコンをいじっていると突然ドアが開かれた。
鍵を書き忘れたかと座っている椅子を回し、訪問者であるカガリに体を向けた。
「もっと早く知っていれば何か用意したんだが」
「じゃあ来ないでくださいよ」
椅子を回しパソコンに体を向ける。
部屋から出ていく気配はないが何も言えずにいるカガリ。
シンはため息をつくとカガリに再び体を向けた。
「で、何しに来たんだよ」
決して好意的とは言えない表情でもシンが自分に体を向けてカガリは笑顔になった。
「何か欲しいものはないか?」
「欲しいもの……特には」
視線を宙に向けしばし考えるが今は特に欲しいものはなかった。
「それにプレゼントって何が入ってるかわからないからいいんだと思いますよ」
「そうか。そう、だよな」
カガリは俯きシンの言葉に納得しながら呟いた。
中身がわかりきってるプレゼントをあまりもらいたいとは思わない。
だからといっていらないものをもらっても困る。
それがプレゼントの難しいものだ。
「でもあげる気持ちが大事だから……」
自分で言った言葉に気付きシンは慌てて片手で口を押さえる。
カガリに聞こえていないはずがなく、顔をあげシンを凝視していた。
「そうか。そうだよな」
先ほどと同じ言葉でも表情も言い方も何もかもが違く感じた。
「……の物」
「え?何だ?」
カガリから顔を逸らし口を押さえながら言う。
その言葉は聞こえなかったらしく聞き返してくる。
「手作りの物っ!」
口から手をはずし半ば開き直ったように大声で言った。
カガリは驚いて目を見開くがすぐに笑みを浮かべるが、またもや表情を変えた。
「私、機械とかは得意じゃなくてな……」
視線を床に向け困惑気味に言う。
「コーディネーターだからって機械が好きなわけじゃない」
「そうなのか?」
お前はコーディネーターを何だと思ってるんだ、機械を食べるとか思ってるのか?と言いたくなるがこいつだから仕方ないかとため息を吐く。
「何かあるだろ。料理とか裁縫とか」
「うっ……」
更に困惑した表情をするカガリを見て、シンは恐る恐る聞いてみる。
「まさか……家事も駄目とか言いませんよね?」
その問いに答えはなくカガリは表情を沈ませ俯きその場に座りこんでしまった。
「今時のお姫様は何もできないんですね」
「馬鹿にするな……!何だ?」
カチンと来て顔をあげるとシンは椅子から立ち上がりカガリの目の前に立っていた。
「ほら、立てよ」
「あ、あぁ」
差し出された手を取るとカガリは立ち上がった。
手は離される事なくシンに引かれ部屋のドアへと近付いていく。
「どこに行くんだ?」
「多少の事ならできるから叩きこむ」
「は?」
よくわからない事を言われ、間の抜けた返答をしてしまう。
「プレゼントとしてあげられるぐらいにはしないと、お姫様」
笑みを含みながら言われやっと意味がわかるとカガリは頷いた。
「よろしく頼む。あ、シンっ!」
頷くと部屋を出ようと足を進めるシンを止めた。
「何だよ」
「誕生日、おめでとう」
H17.8.31
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