計画的プレゼント


 


「シーンシンっ!……何だよ〜、避けるなんてひどっ」
「後ろからそんな呼ばれ方されたら避けるだろ」

通路を歩いていたらヴィーノの声が後ろから聞こえ、端に素早く移動した。
案の定自分がいた場所に勢いよくヴィーノが飛び込んで来る。

「まぁまぁ、落ち着けよ」
「落ち着いてるし……って、お前いつの間に横にいたんだっ?」

横から聞き覚えがある声がしたかと思うとうんうんと何故か頷いているヨウランがいた。

「そうだよ。落ち着けよ、シン」
「だから落ち着いてるって!……何で二人共俺に近付く」

二人に近付かれ嫌な予感がしてならない。何かを企んでいるような顔をしている二人。

「まあちょっと聞けよ」
「損はしないから」
「腕を掴むなっ!」

両腕を二人に掴まれ、逃げようにも逃げれなくされてしまった。

「シンくん、今日は何の日かわかってるかね?」
「かね?」

ヨウランが思わせぶりに言うとヴィーノが語尾を繰り返す。

「俺の誕生日……」
「そうっ!!だから手を出す」

勢いに乗せられ、つい両手を出してしまう。
その手にすかさずヨウランは何かを置いた。

「何だ?なっ!?」
「幸せ家族計画〜」
「この年からデキたらシャレにならないからな」

驚きのあまりシンは渡されたものを隠したいがあまりに強く握りしめた。
知ってはいたが実物を見るのは初めてで驚いてしまった。

「お前は何を考えて……!」
「ラッキースケベなお前にはぴったりなプレゼントだろ?」
「シン、ラッキーでスケベなの?いいな〜」

何がいいんだ、何がとツッコミたいがツッコめないほどに手の中にあるものが衝撃的だった。

「まさか初めて見たって事はないよな?」
「そ、それは……」
「図星?」
「うるさい!」

俯きかけ握りしめた手を見つめるが、すぐに顔をあげた。

「何そんなに握りしめてるの?」
「るっ、ルナ!?」

いつの間にかシンの目の前にルナマリアが佇み、シンの手を不思議そうに見ていた。
助けを求めようと、もとはと言えば二人のせいでこんな事態になっているわけだが、二人に視線を向ける。

「いない!?」

突然現れ、突然消えた二人。ルナマリアが来たため逃げたのだろう。

「ねぇ何?」
「あっ、駄目だって……」

二人がいない事に呆然としていたら手の力が弱くなっていたのか、ルナマリアが手を開かせ手の中にある物を見てしまった。

「……ルナ?」

恐る恐る呼び掛けると通路に頬を強く叩く音が響いた。

「不謹慎よ!変態っ!!」

ルナマリアは顔を真っ赤にさせ走って行ってしまった。弁解の余地さえない。

「いてー……」

叩かれた右頬をさすっていると通路奥から呼び声が聞こえた。
元凶である二人がこちらに向かって手を振っている。

「「誕生日おめでとー!!」」
「お前ら覚えてろよっ!」

そう言いながらもシンは笑っていた。



H17.8.31



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