contradiction scar


 


ナニカガヒッカカッテイタ

引っかかるというより
何か引っ掻かかれた傷があって
それがどうして付いたのかがわからない
絆創膏かなんか貼られて気持ち悪い感じ
でも痛いから
貼らないと治らないから
それは剥がせない
剥がしたら
自分が自分でなくなってしまいそうで
怖い
膿んでしまった傷は
治るべくして
見えなくなった
見えなくなったダケ
どうなったかは
わからない
だって
見えないんだから
ソレから目を反らしていれば
いいだけだからさ
何も変わらない
遊んで
戦って
寝て
それを繰り返す
それが楽しいから
繰り返す
でもそのままでは
何かに負けている気がした
何か違う気がした
何も変わってないのに
傷は見えないけど
治ってるはずなのに
痛いんだ


「アウル、バスケやらないか」
「やらない」

何だか気分が乗らなくてスティングの誘いを断った。
別にイヤだったわけじゃない。気分が乗らない、ただそれだけ。
僕って気分屋だし?

「どこか悪いのか?」
「何が?」
「いや、珍しいなと思ってな」
「どっこも悪くないよ?」

本当にどこも悪くなんかない。悪くないから変な気がする。
引っかかる何かが取れてるのにそれが気になる。気持ち悪い。

「ならいいんだけどな」
「……ちょっと外、出てくる」

スティングを残し、艦内を出た。何かやるわけでもなくデッキに出る。

「いい天気だなー」

誰もいないデッキ。
引っかかる。
ダレカイナカッタカ?

「誰もいないし」

端の方に歩き、そこに座り込む。風が吹いて気持ちいい。

「また戦闘かー」

仰向けに寝転がりそのまま瞳を閉じた。
戦闘が嫌なわけじゃない。勝てばいいゲーム。楽しければそれでいい。

“うんっ!!”

「っ!?」

胸がおかしな風に鳴った。わけがわからない。

「まぶし……」

思わず見開いてしまった目を再び閉じた。
空が眩しい。同じ青でもそこにあるものとは全く別のものだ。
包まれるなら海がいい。別に海が好きなわけじゃない。理由はないけど……海がいい。

“          ”
“何?”
“ ”
“はぁ?何言ってんの?”
“           ”
“ま、いいんじゃないの?     がそう思うなら”
“          ”
“思う、思う。僕にはよくわかん……じゃなくて、わかる、わかる”
“        ”
“そんな顔すんなよ!僕が虐めてるみたいだろ”
“        ”
“じゃあさ、今度連れてけよ。そしたらわかるかもだし”
“         ”
“……約束”

「……ル!アウル!」
「ん……なんだよ」

少し遠くから呼ぶ声が聞こえて目を開ける。いつの間にか眠ってたみたいだ。

「……キラキラしてんなー」

上半身だけ起こし目の前の海を眺めた。同じ青でもこんなに違う。

「そういえば僕の髪も青だよな」

“アウルは海みたい”

目の前に誰かがいる気がした。でも目の前には海が在るだけ。

「何、今更な事言ってるんだ?昔からお前の髪はその色だろ」
「あ、あぁ……」

スティングが近づいてきてそんな事を言ってきた。確かに今更な事言ってるよな。

「戦闘だってさ」
「もう?早くね?」
「予定通りだ」

渋々立ち上がり艦内へ戻ろうとする。

「アウル、どうした?」
「なんでもない」

もう一度だけ海を見て艦内に戻った。

“何か大事な事忘れてる気がするんだよなー”

何でそう思ったのかはわからない。ただ何かが足りない気がした。
頭はすっきりしているのに心が曇る。
あぁ剥がしてしまいたい。この傷がなんなのかが知りたい。
知ったあとなんか知らない。ただ知りたい。
痛んでもいい。治るはずなんかないんだから。
治ってほしくないんだから。
痛みは嫌なものなのに痛んでいたいと思う。
そうすればソレは確かにココに在るのだから。

剥がしてしまえ
膿さえも受け入れて
血さえも飲み干して

「アウル・ニーダ。アビス、出るよっ!」


このキズがキミの確かな証
そのキズがボクの確かな真実
広がるは青
澄んでいて
それでいて淀んだ青
その矛盾さがいいんだ
キラキラ光る
それは光があるから
決して届きはしない
幻想のヒカリ
痛いんだ
痛くて痛くて
キミはどうしてる?
キミはどうしたい?
キミが好きだと言った
海が今そこに在る
包まれてるんだ
そして目の前は
アカに染まった
そしてクロクなる
負けた
負けたんだ
痛い
痛いんだ
矛盾してるキズを抱え
矛盾
したボクは
矛盾だらけの青の中
ボクは勝てたかな?
まだわからぬ何かを
抱いて行くから
キズを塞ぐモノはいらない
ウミは受け入れるから
キミが好きだと言った
この海で待ってるから
約束したこの場所で
呼ぶから
いつか、ボクを…
受け入れて




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