ソラがナイテル
「黒……」
気づけば此処にいた。
周りには石垣でなにもない。誰もいない。
空を見上げればソレはいつも見てきた空ではなく濁っていて黒に近かった。
「ま、いっか。急いでるわけでもないし」
見れば見るほど黒い。吸い込まれそうなほど。
ナニモミエナイ
光などないはずなのに自分が見える。
暗いはずなのに周りは見える。
空は濁っているはずなのに怖さも感じない。
「どうか……しちゃったのか」
何故笑い出したのかもわからない。
自分の笑い声でまぎらわせたかったのかもしれない。
「はじめっからおかしいか」
何が正常で異常なのかわからない。
それは異常?
わかんないよ。正常なんて知らないよ。
「雨……?」
頬に冷たい物を感じて空を見ても何も変化はない。
途端に膝に力が入らなくなって崩れた。膝を床に打ち痛い。
痛い。
「いた……」
瞳を閉じれば赤くて。それは暖かい何かに似てて、暖かいのに冷たくて。
黒い空は夜のようで。
なのに星は照らしてくれない。
「ス……」
息混じりで声が出ない。
涙だけが出る。
怖い、怖い。
それは自分が欲し、恐れるモノに似ていて。
怖い。
それでも欲しいと思う。
自分を照らしてくれなくても、嫌いでも欲しい。
この世界はまるで自分のよう。
星がない世界。キミがいない世界。
悔しい。囚われ続けられなかった自分が悔しい。
この傷が見えなかった事が、見なかった事が苦しい。
まるで海の底にいるみたいで苦しいんだ。
「そう……ばっかだなー」
瞳を開けてもう一度閉じる。
そこはキミが好きだと言ったトコロ。
蒼くて、青くて、優しくて
そんなトコロ。
僕の空にキミが降るから。
キミの海に僕は溺れたから。
「ステラ……」
もう一度……それ以上に傷つけるから、傷つけて。
隠せないほどに矛盾なる傷をつけて。
「ステラっ!!」
何度でも呼ぶから。
泣くように、鳴くように。
ソラがナイテル……
H17.5.29
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