僕が沈むイシになっても


 


「星きれ〜」

横で夜空を見上げながら嬉しそうに言うステラ。
僕は星よりステラを見てた。

「アウル、きれいだね」
「そうだね……」

僕の視線に気がつき、そう笑う君の方が…僕にとっては星のよう。

「アウル?」

唇を重ねた。何度も何度も重ねていたけど、満たされる事はないから。
それは僕の中で確信めいていた。

「やわらかい……アウル」
「うん」

僕の唇をなぞる君。何だか目を合わせていたくなくて両目を伏せた。

「泣いてるの?」

泣いてた。何かがはじけたように流れる涙は君の手に染み込んでいく。

「ステラは」
「なに?」

それ以上言葉がでない。突っ掛かる。喉の途中で止まってしまった言葉。
それは僕にもわからない。

「“星”きれいだね」
「うんっ」

自然と笑みが浮かんだ。ステラの前だから、きっと。
明日もこうしていられるかなんてわからない。だから夜空を見上げるのかもしれない。
“明日の自分”がこの空に在るようにと。

「ははっ……」

今のは笑う所。そう自分に言い聞かせるように膝に顔を埋めながら、僕は笑った。

「ステラ?」

隣にいたはずのステラの気配がなくなり、顔をあげる。

「アウル〜!」

少し先で僕に向かって大きく手を振っていた。

「アウル、来て?」

柔らかい笑顔は月明りの陰になってよく見えない。でも確かにステラは笑ってる。両手を僕に向けて。
立ち上がってステラに近付く。
近くにきてようやくステラの笑顔がはっきり見えた。
ステラの腕が僕を包むのがわかる。

「星、きれいだね」

ステラがそう言って、僕はステラを抱きしめた。

「うん……」

ただそう返すしかできなかった。
でも抱きとめてくれた腕に力強く抱きしめられ。
……涙が溢れた。


僕は何処にいくんだろう
戦うしかないんですか
行く末は決まってしまっているのですか
そんな考えが回っている気がする
誰もが戦士で
戦う術しか持ち合わせてなくて
僕は戦い方を忘れた戦士
見えないんだ
光も陰も
何も……
僕の意思は何処にありますか
何処にもありませんか
涙を流すしかできませんか
ただ確かなのは
僕の意思は君に染み込んでいく事
戦い方を教えてくれた
命で生きる事
それが短くても
自分のために生きたい
光がキラキラと
差し込んだから
星が
目の前にあるから
僕は君の頭上に在れる?
今日も明日も……
いい
君の中に残るなら
流れ星のように流れて
君の中へと
沈みゆく
輝きを失った石になっても
僕が沈むイシになっても
君はキレイだと言ってくれる?
……きっと拾いあげてくれるんだと
いつか眠るその場所で
僕は涙を流した



H17.8.2



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