夢の繋ぎ目
「お姫さん」
「フラガさん。あ、キラならブリッジにおりますわ」
エターナル内通路にて誰かに呼ばれ振り返るとフラガがいた。
アークエンジェルにいる彼がエターナルに来る用事と言ったらキラに話しがある時だろう。
そう思い、ラクスはデッキにキラがいると言った。
「フラガさん?」
しかしフラガがその場から動こうとしない。
「お姫さんは……夢とかないのかい?」
「夢、ですか?」
フラガの突然の問い掛けに少しどきっとしてしまう。
「あるだろ。まだ夢見る年頃なんだしさ」
「年なんて関係ありませんわ」
どうだろなとフラガはラクスから目線を逸らした。
「では私は……フラガさん?」
目線を逸らされた事により自分はここにいない方がいいと思い、その場を去ろうとする。
軽く頭を下げ、背中を向けた瞬間右腕を掴まれた。
「錯覚するんだよ。優しいとさ」
「フラガさん?」
呼び掛ける事しかできず振り返る事さえできない。
今、彼がどんな表情をしているのか。そう思うと何故だが胸が痛んだ。
「お姫さんは優しいから」
「あっ……」
大きな身体が自分の小さな身体を後ろから包みこまれた。
「ずっとその優しさに……って思っちまうんだよ」
抱き締められた腕に力が入り痛みさえ感じる。
それでもラクスは引き離そうとはせずにフラガの腕にそっと触れた。
「私の夢は」
そう言おうとした瞬間、ラクスは顔を上げ瞳を伏せた。
「ラクスの夢にその優しさは必要だったか?」
「っ……!」
ラクスはフラガの腕を引き離すが振り返り、胸に飛び込んだ。
「お姫さん自身なんだから必要も何もないか……」
フラガはラクスの髪を撫で、今度は自ら飛び込んできた少女を抱きしめた。
沈黙の中で二人はお互いを抱き締め、痛みに身をまかせた。
―貴方の隣りで
微笑んでいたかった
ずっと…ずっと
でもそれだけでは
駄目
貴方はそれだけでは駄目なの
だから私は
貴方から離れた
始めから繋がっていなかった手
わかっていました
離す事さえ
できない
私自身で繋ぎとめるならと
何度思ったか
貴方の夢は私の夢
私の夢はどこかへ消えてしまった
今は優しさの中で
この痛みを感じ
私の夢を探す―
H17.8.4
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