濡れ傘変化


 


「ステラ〜早く傘開いてよ」
「うん、でも開かない」

町に買い物出たはいいが帰り道で雨に降られてしまった。
幸いビニール傘を一本持ってきていたため濡れずにすむと思うが、当の傘が開かないと言う。

「何言ってんの?ほら、荷物持って」

持っていた荷物をステラに渡すとアウルは傘を開こうとする。
開きにくいもののの開かないという事はなくあっさりと傘は開いた。
ステラに傘を渡し、荷物を受けとると一本の傘に入り歩き出した。

「ステラの時は開かなかった……」
「ビニールだからへばりついてたんじゃないの?乾かさないと余計へばりつくみたいだし」

そう言ってもステラはよくわかってないように首を傾げる。
すると何を思ったか持っている傘を下ろした。

「うわ!傘持ってきた意味ないじゃん!」

そんなに強くない雨でも体は濡れる。ステラは何も言わずに傘を上げる。そしてアウルの体に自分の体をくっつけた。

「何、してんの?」
「くっついてるの」

わかりきってる事を答えられても困ると思うがステラらしくて少し笑えた。
くっつきながら歩いていると少し歩きにくい。少し離そうとするとステラは離れないようにくっついてくる。

「何なんだよっ!」
「くっついてるの」
「だからそれはわかってるんだってば」

ステラは小首を傾げる。まるでイヤ?と聞いているようだ。

「理由言わなきゃ離れる」
「理由……?わからない」

聞いた自分が馬鹿だった。ステラにもわからない事が自分にわかるはずがない。

「あ、雨やんだ」

傘を打つ音がやみ、空を見ると雨はあがっていた。
しかしステラは傘を閉じようとはしない。

「閉じなよ」
「いや」

こうなったらステラは傘は閉じないだろう。変な所で頑固だ。

「……腕」
「なに?」

小さく言われ聞き取れなかったように聞き返される。
面と向かって言うのが気恥ずかしくて顔をステラと反対方向に向けた。

「腕組めば離れないだろって言ってんの」

言ったはいいが応答がないちらりとステラを見るとアウルをジッと見つめ、笑顔を見せた。

「うんっ!」
「……変なヤツ」

ステラは傘を閉じ柄を自分の腕にかけた。
両手でアウルの腕を掴み組んで歩く。
やっぱりよくわからないが嬉しそうに横を歩くステラを見ていたら別にわからなくていいかなと思い空を見上げた。

「さっきまで雨が降ってたのにもう晴れてんよ」
「不思議」
「ステラにだけは言われたくないよな」

アウルの言葉の意味がわからずステラはまた首を傾げていた。



H17.10.20



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