サディスト的愛情表現論
「あー!また負けた」
「シン弱すぎ」
アウルとシンはテレビの前に座り込みテレビゲームをしていた。
「で、何でお前らは人の家でゲームをやってるんだ?」
「アスランさんの家にやりたいゲームがあるから」
シンは後ろのソファーに腰かけているアスランに振り返り当たり前のように言った。アスランが何か言う前に顔はテレビに向けられる。
「アウル、いっつも女キャラだよね」
「だから?」
格闘ゲームのキャラクター選択画面を見ながらシンはぼやく。
「痛そーとかたまには男キャラでやろうとかは思わないのかよ」
「思わない」
アウルに即答されあっそと返すしかなかった。
「シンあれだろ。女は殴りたくないとか女は家庭にいるべきだとか思ってたり」
「だったら何だよ」
予想通りの回答にアウルは笑い出した。何がおかしいのかさっぱりわからず、シンはアウルを見ているしかできないが、同意を求めようと振り返った。
「アスランさんもそうですよね?」
「あ、まあ……そうだな」
ほらとよくわからない主張をしだすシン。アスランは特に口を出さずに傍観していた。
「僕ならあえて殴るし、戦わせたり働かせたりするね」
非情極まりない発言にシンが口を開こうとするがアウルが言葉を続ける。
「ただし好きな女だけ。好きな女なら色んな面みたいし、優しい事も酷い事もしたい」
さすがにこの発言にアスランも驚く。まるで具体的に誰かがいるような語り。その相手を哀れに感じてしまう。
「それで相手に逃げられたら?」
最もな疑問。普通なら嫌になるだろう。
でもアウルは笑んで答えた。
「逃がさない」
「……サドっぽい」
シンはアウルから目を逸らし呟く。言葉ならどうとでも言えるがアウルの言葉は説得力があった。何だかその自信が悔しい。
「僕なんて全然サドじゃないじゃん。あいつの方が」
「お前以上のサドがどこに……」
「あいつって誰の事かな?」
耳元で声が聞こえアウルは驚くとシンを盾にして隠れた。
「キラ、いつ来たんだ?」
「今。鍵開いてたから勝手に入って来ちゃった」
キラは立ち上がるとアウルとシンから離れた。
「な?あいつがいるだろ?」
「……うん」
「何か言った?」
「「なんでもないっ」」
笑顔を向けて聞いてくるも答えは決まっていた。それ以外を言えばどうなるかわかったものではなかった。
H17.10.20
book /
home