髪型談義
「女みたい」
それが彼を初めて見たアウルの第一声だった。
「アウル!」
シンはその発言に驚き首に片腕を引っ掛けると、彼から少し離れた。内緒話のように声を潜めて言う。
「怒らせたら怖いんだから下手な事言うなよ」
「正直に言って何が悪いんだよ」
全く悪意はないようだが尚更タチが悪い。
「どうしたんだ、レイ。そんな所に突っ立って」
「アスラン」
アウルに女みたいと言われた彼、レイは現れたアスランに体を向けた。
「あんなんで赤服なんだろ?ザフトってそっちの気がある大人が多いんじゃね?」
「ば、馬鹿!!」
隠す気がないのか普通に会話する大きさで言うアウルの口をシンは慌てて押さえた。
しかし離れたと言っても距離は近く聞こえていないわけがない。
「みっ、見た目じゃないんだよ!アスランさんみたいに中身がへたれでも赤服でしかも隊長をまかされるぐらいだし」
「シンっ!」
シンの発言にアスランが怒らないはずがなかった。アウルは声には出さずにバーカと口だけ動かす。
「ま、中身がへたれだろーがどうでもいいんだけどさ。僕はその髪の長さが気になるわけ」
「そういえばレイってずっと髪長いよな」
髪の長さを疑問に思う二人はレイを凝視した。
「やっぱりそっちの…」
「アウル!」
アウルの発言に怒った素振りもなくレイは口を開いた。
「俺はこの髪型を気に入ってるからこの長さでいるんだ。俺から見れば髪の毛を跳ねさせている方が不思議だが?」
レイらしい回答に思わずシンはアウルを見る。すると何見てんだよと怒った。
「僕のは癖っ毛なんだよ!ならわざわざデコ強調してる奴はどうなんだよ!」
自分の事を言われカンに触ったのか矛先はアスランへと向けられた。
「アウル、アスランさんはやばいんだ。言ったら失礼だろ」
シンの好意的なフォローはアスランを怒らせる材料にしかならず、案の定アスランは怒った様子でシンを呼んだ。
「シンの方こそ前髪が長いと目に刺さって痛いんじゃないか?」
「余計なお世話です!前髪があるからあるなりの髪型にしてるのがわからないですか」
いつの間にかシンとアスランでの言い争いになり始め、アウルはただ見ていた。とばっちりは受けたくない。
「あれ、あいつは?」
先ほどまでのいたはずのレイがいなくなっていた。
自分から話を逸らし逃げたなと思うがシンとアスランは元の話すら忘れて言い合っていた。
「喧嘩するほど仲がいいってやつ?」
「「違うっ!!」」
同時に言われ笑っていると二人は同時に顔を背けた。
アウルはこんなのも面白いなと笑い続けていた。
H17.10.20
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