『カガリ&ミリアリア編』
町をとぼとぼと歩いていると、見知った人がこちらへと向かってきます。
シンくんはどこかへ隠れなければと隠れられそうな場所を探しますが、探している間に見つかってしまいました。
「きょろきょろしてどうしたんだ?」
「何か探し物?」
カガリさんとミリアリアさんでした。
シンくんは何と答えればいいか口をぱくぱくさせています。
そんなシンくんを二人は不思議がりながら顔を見合わせます。
「何か困った事があったなら相談にのるぞ?」
「私はあまり話した事ないから話しにくいかもしれないけど、良かったら話してみて?」
二人の優しさにシンくんは思わずじーんとしてしまいました。
始めからこういう人に相談をすれば良かった、と。ですが事が事です。話しにくい事には変わりません。
「あ、犬」
「へっ!?」
ミリアリアさんが顔を綻ばせていました。シンくんは驚きましたが、ミリアリアさんは彼を見ていません。
「本当だ、可愛いな」
「こう、ぐりぐり〜ってしたくなるのよね」
「嫌がらないか?」
「それがいいんじゃない」
二人は散歩をしている犬を見ながら会話をしていました。
シンくんはそんな二人を見ながら、もしも自分が打ち明けたらどうなるかを考えてみました。
「……」
考えただけで恐ろしい事です。
撫で回され、嫌がるも最後は“お姉さん達に逆らえない”状態になりされるがままになるに違いありません。
「そ、そういえばお二人は何しにここへ?」
何とか話しをずらそうと聞いてはみたものの、明らかに二人の手には紙袋が。見るからに買い物に来た図です。
「そうだ、シン。お前のた……」
「何でもないのよ〜ただ買い物に来ただけで」
何かをシンくんに聞こうとしたカガリさんの口はミリアリアさんに塞がれてしまいました。
でもシンくんはそれどころではないので気にもとめません。
「そうなんですか。お、俺ちょっと急いでるんで失礼します!」
これ以上話していればボロが出かねないと判断したシンくんは走り出しました。
二人は振り返ってシンくんが走り去ったあとを見つめました。
「……トイレを我慢してたのか」
「違う気もするけど……」
またシンくんは相談できずに逃げ出してしまいました。
また町を歩いていれば誰かに会うかもわからないため、家に帰ろうと思いました。
相談もできないのでは助けなんて求められません。
誰にも会わない事を願い家路につくのでした。
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