『レイ&ヴィーノ&ヨウラン編』


 


シンくんはみんながいそうなお店へとやってきました。
店内はすいていて、シンくんが入ってきた事に気がついたヴィーノくんが手を振っています。

「シンこっちー!」
「遅いぞ」
「そんな事言われたって約束もしてないのに……」
「シン、とりあえず座ったらどうだ?」

立ったままのシンくんをレイくんが座るように促しました。
シンくんは素直にレイくんの隣へ座ります。

「シン〜座るなら普通こっちだろ?」
「いや……それは、その」

席は六人席。ヴィーノくんの前がヨウランくん、その隣がレイくんです。
普通ならば二人ずつ座ると考えるでしょう。しかしシンくんはあえてレイくんの隣に座ったのです。

「ルナマリアとメイリンは隣同士の方がいいだろう」
「そう!そうなんだよ。さすがレイ」

本当はもしもの時に逃げやすくするために、一番端に座ったのでした。
レイくんの言葉に助けられたシンくんは少し緊張がほぐれたようです。これなら今度こそ打ち明けそうな気がします。

「しっかし、お前朝からいなかっただろ?」
「何、野暮用?」
「うっ……ま、まあ」

こう聞かれてしまうと言いにくくなってきてしまいます。朝からずっと誰かに助けを求めようとしてたなんてわかった時にはなんて言われるか。

「シン、帽子は取らないのか?」
「え、帽子?取るよ、取る」

レイくんに悪気はありません。アスランさんの時のように、屋内では帽子を取った方がいいんではないかと思っただけなのです。
シンくんは自分に言い聞かせるように取ると言いましたが、帽子にかけた手は決して帽子を取ろうとはしてくれません。

「いらっしゃいま……あっ!」

ウエイトレスさんはシンくんにお冷やとメニューを持ってきました。
しかし手からコップが滑り落ち、零れた水はシンくんの頭へ。

「申し訳ございません!お拭きしますので帽子を……」
「うわっ!?い、いいです!大丈夫ですから!」

ウエイトレスさんの手が帽子へ伸びましたが、シンくんはその手を振り払いました。

「そのままじゃ風邪ひいちゃうよ?」
「拭いてくれると言ってるのだから振り払う事ないだろう」
「シン、お前何か変じゃないか?」

その言葉を耳にするのは二回目でした。ヨウランくんは訝しげにシンくんを見ています。
そんなヨウランくんの言葉に、レイくんとヴィーノくんまでシンくんをジッと見てきます。

「変じゃない!」

と、言って逃げてしまったら変だと認めたようなものです。
ですがこのままでは帽子を取られてしまうと焦ったあまりに店から飛び出してしまいました。

「シン……そんなに気に入ってた帽子だったのか」
「いや、違うだろ」
「変なシン〜」

レイくんのボケもシンくんには届かず。
もはや泣きたい気持ちでシンくんは町中を走るしかありませんでした。




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