保つのはあとどれくらい?


 


俺とラクスは普段そこまでくっつきはしない。
でも夏は少し特別だ。


「ラクス、眠いならベッドに行った方がいいですよ」
「大丈夫ですわ」

ソファに座っているとラクスが隣に座った。
いつもなら少し間があるはずなのに、今日はぴったりと腕がくっついている。
しばらくしてラクスが態勢を崩して俺の腕に両腕を絡めてきた。
どきまぎしながらも平静を装う。さっきのように言ってもラクスは大丈夫としか言わない。その言い方がいつもと違い力が入っていない。
気になるけどどうしてくっついてるかなんて聞けるわけがない。
嫌なわけがない。けどこの態勢はさすがに色々とまずい。

「アスランの身体は暖かいですわね」

ほわほわとした口調で俺を見上げて言ってくる。
この部屋はクーラーでひんやりと冷えていた。

「あ、寒いですか?すみません、気付かなく、て?」

寒いからくっついてるのかとようやくわかって、スイッチを切りに立ち上がろうとする。
立ち上がろうとして立ち上がれなかった。ラクスに引き止められたからだ。

「大丈夫ですわ」
「そうですか」

にっこりと言われてはこれ以上はできない。ラクスの腕を振り払う事なんてできないし。
沈黙。
何も話していないとつい腕の感触に意識が集中してしまう。
ぴったりとくっついてるから胸が当たっているが、言えない。それを喜んでいる自分がいるからだ。
設定温度が低いのだろうか。少し寒く感じてきた。
ラクスが触れている右側はとても暖かいが左側は肌寒い。

「あっ」
「どうしましたの?」

思わず声が出てしまい、左手で口を押さえる。
ラクスを見るとやっぱりぴったりとくっついてきている。
この状況なら何等おかしくはない。普段はこんなにくっつく事はないけど、肌寒いのだから。

「ラクス、俺の上に座ってもらえませんか?」
「でも……」

ラクスが迷うと腕の力が緩まった。その隙にラクスを離して、軽く持ち上げる。

「こっちの方が暖かいですよ」

着地点は俺の足の間。
ラクスの態勢は横に座るような形で足がソファに投げ出されている。

「はい」

一瞬戸惑いながらもラクスの両腕が俺の身体を包んできた。
俺もラクスの身体を包む。

「でもこれだとラクスの顔が見えませんね」
「それでは頬を合わせましょうか?」

俺の返答を待たずにラクスの頬がすりすりと頬に寄せられる。
至近距離すぎて顔がよく見えないのか、目を逸らしてしまっているのかが自身でもわからなかった。

「アスランの身体、少し熱くなりましたわ」
「そうですか……?」

ちらりとすぐそばにあるラクスの顔に視線を向ける。

「はい」

嬉しそうに笑う彼女を見て、また熱くなった気がした。
それは嬉しいだけなのか、それとも……?
言えるのは、理性が保つのはあと少しということだ。



H20.7.28



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